ショートショート だいたいニャー


「だいたいニャー、オメェは鈍臭いんだ。社会は自分の都合で動いていないんだよ」

招き猫が…

「なに驚いててんだよ。オメェがお金が欲しくてオイラを買ったんだろ。だいたい貯金したいのに、欲しくもない物買うかね」

「いや…」

「まぁ、オイラがオメェを人前に出しても恥ずかしくないようにしてやるから、まずはお供えもんよこしな」

勝手に進める招き猫。

俺は仕事が忙しすぎて、幻覚を見るようになってしまった。

「幻覚じゃねぇーよ。またそうやって現実逃避してさ。休みの日はダラダラ動画見て、カップ麺を食べて、たまに外に出ると思ったら、夜の店に」

「僕…は、断じて夜の店なんて行ってない…」

「はいはい。夜の店も行けない意気地無の個室ビデオね…」

僕は顔を真っ赤にした。

「う..うるさい…法律に違反したわけじゃない」

「素直になれよ。モテたいんだろ」

「別に僕は…」

「会社で成果上げたいんだろ」

「…」

「自信持ちたいんだろ」

俺は猫が好きそうなお供物を買いに行った。

(410文字)



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裏お題 だいたいニャー



お題 逢いたい菜


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