◉37話 初めての自家製醤油絞り 2023

※東愛知新聞掲載日:2023年3月20日

今シーズンも、いるかお醤油作りのメンバーで育ててきたお醤油を絞る日がやってきました。
20年来の友人でもあるチヨちゃんが仕切る『いるかビレッジ』は子育て中のお母さん達が子供を気軽に連れて参加できる講座を沢山開催しています。
その中の一つがこの醤油作りというわけ。
去年の春先に麹屋さんから分けてもらった醤油麹に、すぐに天然塩と地元の水を加えて樽に入れ発酵を促すこと1年。
最初は分離していた水と麹も、数ヶ月もするとドロドロっと水分が抜けて色が濃くなっていく。
母たち10名ほどとその子供達で、月に1、2度交代で集まり樽から樽へお醤油の醪(もろみ)を移し替える天地返し。

保管場所も気温の上がる時期によって移し変えたりと、同じ発酵食品の味噌と比べると少し手間がかかるけれど、
みんなで集まるたびに味見を繰り返し、まるで子供を育てるように変化を楽しみながらお世話をしてきた。
いよいよ絞りの当日は全員のメンバーが集まる日。
絞り師さんがはるばる長野県から櫂(ふね)と呼ばれる搾り器や必要な道具を車に積み込んでこの日の為に来てくれる。
醪の状態を見て加えていくお湯の量を加減し、何度も味見をしてから絞り始める絞り師のトキさん。美味しさをさらに引き出す職人の熟練の技と知識。
醪を袋に入れ、圧を掛けると、搾り器の口から醤油が出てくる。それを見た子供達が我先に!と遊びを中断して集まってくる光景はまるで村のお祭りみたい。
火入れする前の生醤油のよい香りが漂う中、それ味見か?というほど何度も何度も小さな手が伸びてくる事が美味しいお醤油である事を物語っている。

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