◉24話 《アメリカの大学の授業の一コマ》
前回、私のアメリカ留学生活の中で最も印象に残っている授業のひとつを紹介しました。ふたつ目は体育の初日の授業のことです。
直径70cmの色とりどりのバランスボール(ゴムのボール)が30個ほど転がっている大きめのクラスルームで、先生が、”さあ、一人ずつ誰からでもいいからこの空間で自由に30秒ずつ踊りなさい”と言うのです。
20名もいる中で、間髪入れず前に踊り出て行く人たちの中には決して上手とは言えない動きをしている人もいましたが、その姿を笑い者にするような人などいません。
そんなクラスメイト達に羨望の眼差しを向けながらも、多分私一人が”どうしよう。困る、、、。”と身構えていました。
前に出て行く自信を持てない自分に ”この差は何だろう。”と思ったものです。
失敗するのが怖いのか、笑われるのが怖いのか。
そんな自信のなさを察するのか、隣の人が、”次はあなた行きなさい。You can do it!”と声をかけて助け舟を出してくれるような事も一度や二度ではありませんでした。いざボールの中に飛び込むと意外と自由に動く身体。そして30秒も踊っていると終わりの方はいつの間にかリラックスして慣れてくるのです。
時には、やっちまった〜。とか恥ずかしい〜!という気持ちになった事も沢山あるけれど、こんな授業が沢山あったからこそ、人前に出て自分を表現する力が養われたのだと思います。
東愛知新聞掲載日