雪が降ると思い出すエピソード
数年前の話です。県内に大雪が降って積もった次の日のお教室での話です。
その日は雪の中を恐る恐る来て下さった方が多く、
「雪のなか、大変だったでしょう?よく来て下さいましたね。」
とお尋ねすると、
「いえいえ、ゆっくり来たので大丈夫です。」
「朝はびっくりしましたが、家を出る頃にはとけていたので大丈夫でした」
というようなお返事が返ってきました。
また、あるお母さまからは、こんなお手紙をいただきました。
「先生、今日は雪の中を朝早く出て来てくださって雪かきなどの準備をしてくださったのですね。そして娘のためにレッスンをして下さり本当にありがとうございます。お帰りも、日が暮れて凍ってきますでしょうからくれぐれも気をつけて下さいね。」
と、丁寧な文字が並んでいました。
心から感激し『雪にめげて休講にしなくてよかった』と思ったのを思い出します。
お母さま方はもちろんですが、その日は講師スタッフも積雪の中を家族に心配されながらいつもよりかなり早く家を出て教室に来てくれたのです。レッスン料をいただいているのですから、当たり前といえば当たり前です。それでも、講師スタッフの立場になって温かい気遣いをいただいた事を本当に嬉しく思いました。
講師とお母さまというのは常日ごろから、双方の信頼を基に『お子さまの才能を引き出し伸ばす』『お子さまの心を育てる』という目的のために協力していく同士のような関係です。
この先生で大丈夫かな?この教室で大丈夫かな?他にもっと良い所があるんじゃない?こんなレッスンで本当にいいの?お月謝、もったいないな。もう、辞めようかな。よそへ移ろうかな。どうしようかな。他に選択肢がないから、まあ、しかたないな。
という気持ちが少しでも芽生えたら実はその時点でそこまでだと思うんです。信頼関係が崩れ疑念を持ったままお子さまを伸ばしていくことはできないと思うから。
雪が積もるといつもこのエピソードを思い出します。
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