見出し画像

ポエム小説「先生、やりたいことがありません」

小学生の頃、「みんなのやりたいことはなんですか?」と授業で聞かれた。クラスのみんなはすぐに手を挙げやりたいことを語っていった。僕は僕のやりたいことはなんだろうと考えた。

勉強?スポーツ?ゲーム?遊び?どれもこれも別にやりたいことじゃない。

「さぁ、君のやりたいことはなんですか?」

僕が最後。みんなが僕を見ている。

「特にありません」と答えると先生は困った表情を浮かべた。しょうがないじゃないか。やりたいことがわからないんだから。どうしてみんなはやりたいことがあるんだ?

「なんでもいいんだよ。なんでもいいから言ってごらん」と先生は言った。

「ごめんなさい。ありません」と僕は頭を下げて教室を飛び出した。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?