言葉のある人になろうー調香と言葉ー
ひとつの芳香植物は、数百の香り成分を絶妙な比率で含んでおり、
成分、比率が変わる事によって、その植物の香りが決まります。
私はシングル精油の香りの特徴を伝える際に様々な表現を使うけれど
それは私というフィルターを通した表現でしかなく、感じる側がそれぞれに紡ぐ言葉全てが正しく、自由度が高い。だからこそ、相手ありきの調香は複雑かつ難しいのです。
単離香料のように、ここを少しだけこうしたい、というのが非常に難しい。
つまり何が言いたいのかというと、
植物の香りを扱う人は、言葉を磨く必要がある、ということです。
複雑さを持った植物の香りをもって、どう表現し、それを調香に活かすかで、ブレンドに説得力が増すのです。
香り、嗅覚という、感じる脳は言語化や定義づけが非常に難しいけど
香りからイメージしたことを、自分の言葉にすることがとても大切だと
18年間、植物の香りに携わってきて、改めて思います。
先日、とある編集者の方とお話する機会があり、その方がふと言われた言葉に引き込まれました。
「言葉のある人と仕事したいんですよ」
編集の業界では
言葉のある人=自分なりの考え、それに対する言葉を持つ人
という事だそうで。
香りというのは感覚なので曖昧で、
言葉にするのが困難なんですよ、、
と、伝えたら、
「菊池さんの文章からは、香りを感じますよ」
と。思わずこの上ない褒め言葉をもらってしまいました。
私に出来ることって、伝えられる事って何だろう
この数ヶ月考えていたけれど、あっさり答えが見つかったような感覚です。(今秋、少し大きなところで登壇の依頼を貰っており、テーマに迷っていたので、とても助かりました)
さておき。
アートを鑑賞する時に、突きつけられるような感覚がありますが
香りも同様です。
アートも香りも、自分のフィルターでもって自由に感じて良いという意味で共通しているけれど、
言葉を磨きたい、自分なりの言葉を持ちたい、と思うならば
ただ鑑賞する、ただ香るのではなく
しっかりと感じ、分析し、イメージし、ストーリーを感じながら
言葉でもって表現することが大切です。
それには、学びと経験、多面的な視点も必要。
引き出しを多く持っているほど、表現の幅を広げます。
ひとつの側面ではなく、多面的な視点と、経験、知識でもって成り立つ言葉には、鮮明な説得力があります。
それが、
自分の言葉を持つ
という事だと思うのです。
何もないところから生み出すわけでもなく
奇をてらった突拍子もない表現をするわけでもなく、着実に蓄積され、自分の中にあるもの、それがその人の言葉なのです。
言語化の大切さを論じる人は多いです。
その一方で
私には言葉がない
言語化が苦手、文章にできない
という方も多い現実。
言葉を磨きたい、言語化できるようになりたい、と思うのであれば
曖昧かつ定義しづらいものに対して
どれだけ相手にわかる表現で伝えられるか
ここを意識して過ごしてみると良いです。
私は日々、知りたがり屋の5歳の息子から
禅問答の様な質問を1日に何度も浴びていて、言語化の良い練習になっています 笑
練習で着実に言語化能力は上がっていきます。
香りやアートを使って言語化の練習をするのも
おすすめ。
言語化できるようになると、夢も目標も
叶いやすくなるともいわれます。
最後までお読みくださり
ありがとうございました。
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