見出し画像

ストリートピアノでやってはいけないとされていることが多すぎる問題

仕事の帰りに片手でちょうちょをさっと弾いて帰るのは恥ずかしく、ショパンを華麗に、流行りのポップスを高速に弾くのがよしとされるのが日本のストリートピアノに見えます。

ストリートピアノは基本自由に弾いてよいものだと思っていたのですが、あまりにもしてはいけないことが多いことに驚いています。私が見たのは主に首都圏の人口密集地にあるピアノについてで、そういった地域でないところのピアノはもしかすると、「してはいけない」が少ないのかもしれません。

やってはいけないこととしてChatGPTに聞いてみると、出してきたのは6つです。①長時間演奏しない、②乱暴な演奏や鍵盤を叩かない、③過度な大きな音をださない、④周囲を占拠したり迷惑をかけない、⑤飲食しながら演奏しない⑥許可なく撮影録音をしない、他の人の演奏を邪魔しない

なるほど。確かにこれを守れば、誰からも文句を「直接」いわれないような気がします。間接的につまり「SNS」で苦情をいわれないようにしようとするとさらに気を付けることがまだまだあるのかもしれず、良い悪いは置いといて、少し考えてみました。日頃感じる見えない圧力みたいなものを言語化してみます。

①練習をしてはいけない

ピアノを自由に使える場所で、「練習禁止」と書かれているのを見て驚きました。これは、長時間ピアノを占有されないようにするためかもしれません。NHKの番組では、駅や街角、空港に置かれたストリートピアノでの演奏を紹介しています。そこでのインタビューでは、「家にピアノがないのでここで練習している」とか、「毎日練習してこの曲が弾けるようになった」という話がよく聞かれます。しかし、これらのピアノの多くは海外にあるものです。特に人が多い場所にあるピアノでは、練習音が気になる人もいるため、苦情が来ることもあると思います。


②下手な人は弾いてはいけない

ミスタッチが多いと、周囲から「下手だ」と思われることがあります。そのため、ピアノを弾くときに「弾いてはいけない」という雰囲気を感じることがあります。有名な演奏者でも、称賛される一方で、厳しい批判もすぐにSNSで広まります。昔なら目にしなかったような悪口が、今は誰でも見ることができるので、外でピアノを弾くのはとても怖いと感じてしまいます。


③楽譜を見ながら弾いてはいけない

暗譜(楽譜を暗記して演奏すること)には、十分な練習時間が必要です。楽譜を見ながら演奏している人を見ると、「練習が足りないのでは?」と思ってしまうことがあるかもしれませんが、実際には楽譜を使うことに問題はありません。しかし、時には楽譜を使っている演奏者を揶揄する意見も見受けられます。

クララ・シューマンが楽譜を見ずに演奏するスタイルを広めたと言われていますが、実はそれ以前は楽譜を見ながら演奏するのが一般的でした。現在では、楽譜を見ないで演奏することが上級者の証とされることが多いですが、どの演奏スタイルにもそれぞれの良さがあります。

演奏スタイルは多様であり、どちらの方法にも魅力があるのにもかかわらず、なんとなく譜面を見ながら演奏する人への圧を感じることがありました。

④知られていない曲を弾いてはいけない

知られていない曲は、聴衆にとって親しみが薄く、興味を引きにくいことがあります。知名度の高い曲は、多くの人に共感を呼びやすいですが、知らない曲ではその効果が得られにくいです。聴衆が楽しむためには、ある程度の認知度が必要なのかもしれません。


あまり知られていない曲を楽譜を見ながら、ミスタッチを繰り返しストリートピアノで練習している人の横を通りすぎたときに、私は何を思うのでしょうか。

何かが問われているような気がします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?