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漫画・小説の世界観の作り方

物語の世界観の構築・改善

スクウェア・エニックス開催のコミカライズネーム構成大賞で
表示されている小説をベースに解説し、改善します。
↓【コミカライズネーム構成大賞】
https://www.ganganonline.com/special/naming/

↓【課題用小説4ページ】
https://www.ganganonline.com/special/naming/kadai_hifan.pdf

この小説を読んでネーム構成をしてみようと思ったのですが、
沢山の疑問、違和感が浮かんだので列挙し、解説していきます。

脚本・シナリオ・小説など全てのストーリーにおいて世界観がしっかりリアルに作られていないと
キャラクターの動きに違和感が出ます。

「なぜそう言動するのか?」

こういった疑問が視聴者、読者内に発生すると没入できません。
作者都合で「こういう場面を作りたい」となった時に都合よくキャラを動かすと

それは人ではなく、人形になります。

人形では愛しづらく、感動しづらくなります。
ーーー
【課題小説の大まかな流れ】

・主人公は名門魔法使いの家に生まれる

・ゲイル家との結婚の予定もあったが魔力が0であることが発覚し、婚約は無かった事になる。

・婚約破棄で怒った家族に追放され、旅に出る

・魔物の群れが自分の街を襲ってきて転んだ女性を助けるべく、ドラゴンにパンチする

・ドラゴンは一撃でダウン。主人公はびっくり

・続いて主人公の陰から悪魔の女性が出現し、
主人公は2000年前に封じ込まれた大魔王だと言う。
15歳になると大魔王の封印が解け、記憶と力が回復すると2000年前の大魔王は悪魔の女に言っていたらしい。

・主人公は記憶を取り返してはいないが、自分には能力がある事を知って希望を見出す。

おわり
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【感じた疑問】

・大魔王はなぜ人間に憑依する必要があったのか?
魔族に憑依してはだめなのか?

・どうやって憑依したのか?

・15歳になると何故記憶と力がよみがえるのか?

・2000年の間に生と死を繰り返したはずなので15歳は何度も来たはず。

今回は何故15歳で大魔王の力が回復したのか?トリガーは何なのか?

・2000年間、記憶と力の回復に失敗した訳は何なのか?その間、悪魔の女性はどうしていたのか?

・大魔王や悪魔の女性はどうやって封印されたのか?

・どういったタイミングで悪魔の女性は大魔王から「15歳復帰説」を聞いたのか?
封印後であれば大魔王の記憶が消えているので会話はできないはず

・百鬼夜行の先導を大魔王にして欲しいと悪魔の女性は言うが、百鬼夜行は大魔王がいないとできないのか?

・百鬼夜行は魔族の行列であり、小説全体を読者に読ませるためのゴールとしては弱くないだろうか?

物語のラストで元気よく魔族が歩いている姿があったとして読者は感動できるのであろうか?

・魔族の生活の糧は何なのだろうか?生きがいは?邪魔なものは?

・主人公が旅に出るとすぐに魔物の群れが襲ってくるが、人間族劣勢であり、
大魔王の復活は必要である感じがしない

・家族は結婚できない、魔力がない、という理由で長年愛し続けた我が子を
魔物が出るような野に放つのであろうか?
憎くもないのに非人道的ではなかろうか?

・悪魔の女性がドラゴンの群れを一撃でやっつけるのは同士討ちではないのか?
ーーー
以上が疑問であります。

小説タイトルから推測されるのはハーレム系のシナリオであり、
単にイチャイチャするだけで世界観に重きを置かず軽い物語になってしまうと感じました。

できれば鬼滅の刃のような緊迫感のある、リアルな世界観で没入したいと感じ、
この大筋を壊しすぎず、疑問を消し、整合性が付くように世界観を考えましたので書きます。
ーーー
【疑問を消す世界観構築】

・大魔王はなぜ人間に憑依する必要があったのか?
魔族に憑依してはだめなのか?

人間族の勇者の必殺技の前に悪魔の女性と一緒に追い詰められた大魔王だったが、
魂の状態に返り、その勇者に寄生する事で一命を取りとめた。
勇者の中で寄生し力を盗む事で人間族に復讐するもくろみを持った瞬間だった。

大魔王は力を最低限に弱めて魂になってしまったので、その時は何も勇者にダメージを与えられず、コントロールもできなかった。
勇者の中に飛び込むときに、いつもそばで助けてくれた悪魔の女性を連れて入ったので
「15歳の時に復活する説」はその時に伝えられて悪魔の大魔王の力で魂化し、弱い状態で勇者の中に入った。

・どうやって憑依したのか?

魂化し、大魔王と悪魔の女性は入った。

・15歳になると何故記憶と力がよみがえるのか?

人間族は15歳程度で魔法力を解放させる事を大魔王は知っていたので
その魔法力を使うために15歳の儀式を行う時を自分の回復時と定めた。

・2000年の間に生と死を繰り返したはずなので15歳は何度も来たはず。

人間族、ドラゴン族、魔族と3種の族の争いは2000年前に決着し、平和になったため15歳時の能力開放儀式が取りやめになっていた。

魔法力は戦うための物であり、その魔王力が魔族を生んでしまった過去もあるので
民の安全を考えて儀式は消え、人々は力の開放儀式の存在すら忘れているのが現在であり、

体内からこぼれ出たような弱い魔法力で人々はドラゴン族と戦っているのが現状。
儀式を行い、体内の魔法力さえ開放すればドラゴン族と戦える世界観。

・今回は何故15歳で大魔王の力が回復したのか?トリガーは何なのか?

人間族の魔法力開放儀式はドラゴンの血を浴びる事にあり、
家を追い出されて武器は槍を持っていたので道端に倒れた女性を救うために槍でドラゴンを刺して追い払ったが、返り血を浴びたので、それがドラゴンの血を浴びる儀式になり、

トリガー発動で主人公は魔法力を回復、続いてその魔法力を使って封印を破ったのが大魔王と悪魔の女性。

・2000年間、記憶と力の回復に失敗した訳は何なのか?その間、悪魔の女性はどうしていたのか?

魔法力解放の儀式が取りやめになっていたので大魔王も復帰の力を得れなかった。
悪魔の女性も同様で勇者の末裔である主人公の中に居続けていた。

・大魔王や悪魔の女性はどうやって封印されたのか?

封印されたのではなく、自ら勇者の体内に魂化して逃げ込んだ。

・どういったタイミングで悪魔の女性は大魔王から「15歳復帰説」を聞いたのか?
封印後であれば大魔王の記憶が消えているので会話はできないはず

逃げ込む瞬間に大魔王が伝えた。

・百鬼夜行の先導を大魔王にして欲しいと悪魔の女性は言うが、百鬼夜行は大魔王がいないとできないのか?

大魔王がいると暗雲が発生する設定。

魔族は暗雲がないと力を弱めてしまい、ドラゴン族は暗雲がなくとも活発に行動できるので魔族は行動域を弱めて隠れていた。

・百鬼夜行は魔族の行列であり、小説全体を読者に読ませるためのゴールとしては弱くないだろうか?

暗雲立ち込める魔族の世界にして百鬼夜行を行えるようにする訳ですが、
人間側が敵になり、追いやられて終焉となれば読後感が爽快ではないです。
大魔王と人間とが和解し、共存するような展開に移行するのが良いと思います。
その流れを作るのが、ゲイル家の元婚約者であり、
大魔王の一応の復活で暗雲が世界に戻り、活性化する魔族は人間族と再度争う世界に代わり、

その荒廃した世界で人間族であるゲイル家の娘と大魔王の体に徐々に変わってしまう主人公の恋を描いてみればと思います。

体内で活性化する大魔王の血は人間族を滅ぼしたい、しかし勇者の血は平和を望み、大魔王の血に抗いたい。そのジレンマを描きます。

体から大魔王のオーラが出てくるとゲイル家からは敬遠され、
駆け落ちのようにゲイル家の娘を連れ去る主人公は魔族と人間族の共存を目指して戦います。

物語の核はハーレムになっている気がしますので
主人公が自分の体を大魔王に奪われないように協力できる人物が世界に点在するとして、
それがきれいな女性という事で出会うために旅をし、ハーレムになっていく感じです。

・物語のラストで元気よく魔族が歩いている姿があったとして読者は感動できるのであろうか?

百鬼夜行に人間も加わってラストにすればめでたし感は出て良かったと感じるラストになります。

この物語の肝はラストではなく、女性探しの旅であり、出会った瞬間のバトルや協力してもらう所の描写が面白い気がします。

・魔族の生活の糧は何なのだろうか?生きがいは?邪魔なものは?
→人間の血肉が糧であり、生きがいは人間族を屈服させることで、
邪魔なものは人間という設定です。

・主人公が旅に出るとすぐに魔物の群れが襲ってくるが、人間族劣勢であり、
大魔王の復活は必要である感じがしない

ドラゴン族を作る事で成立させます。

・家族は結婚できない、魔力がない、という理由で長年愛し続けた我が子を魔物が出るような野に放つのであろうか?
憎くもないのに非人道的ではなかろうか?

民を守るためには魔法力の活性化が急務であり、泣く泣く旅に出させ、
人類を守ろうとする勇者の末裔たちという設定にします。
ゲイル家は勇者の血を引く家であり、結婚すれば勇者の血が濃くなり
力を得れると両家は思っているので、力を持った状態で
結婚させたいという想いがあるとします。

・悪魔の女性がドラゴンの群れを一撃でやっつけるのは同士討ちではないのか?
ドラゴン族も敵であると設定します。
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以上で違和感をすべて消しました。

【感想】
この作品を漫画やWEBTOONにして大ヒットさせるのは困難です。
ハーレム物で大ヒットも中ヒットも歴史がなく、
世界観が軽いからです。

大魔王の記憶に支配されないように先に出会う女性達の魔力が必要として、
その時に軽く魔力を吸い取って女性の性格が柔和になったとして、

三角関係、四角関係を描いたとして、ぴったり使えるのは
RPGのシナリオだと感じます。
加えた女性がパーティーのメンバーに加わるという
感じのゲームです。


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