裏薗ちゃん
迷い込んだシアタールームで時間も忘れて楽しい映画を見ませんか??ポップコーンは貴方の中に。頭を空っぽにして映画を見ましょう、そうしましょう。
『僕』がたんぽぽに襲われるという不可解な夢を見続けている新高校2年生の僕の新しい1年間について。
私が今の裏薗になるまでに起こったたくさんの出来事を小説としてまとめています。
私が学生の頃に書いていた小説を書き直しながら投稿しています。 ちょっと鬱々としていますが、読んでいただけると嬉しいです。 【あらすじ】 ごみ捨て場で小さな赤ちゃんを拾った私のお話
「髪の毛がピンクになりましたね、可愛いです」 「え、あ、ありがとうございます」 久々にコンビニに行った時、店員さんがかけてくれた言葉。 その時の私はしばらく外に出れなくて3分の2は引きこもり状態だった。コンビニに行ったのはネットで当たったタバコ引換券を交換しに行くため。ついでにストゼロとカップ麺を買おうとコンビニの中をウロウロして、レジにむかった際の言葉だった。 顔はもちろん死んでいた。鬱がだいぶ酷くてほぼ寝たきりの私に外はあまりにも眩しすぎた。お風呂にも入れていなかった。冬
みっつ数えてみてください。 私が本を読んでいるとき、なんだか聞き覚えのある声が聞こえました。 みっつ数えて見てください。 その声の主を確かめることは致しません。そんな恐ろしいことはできないのです。 みっつ数えて見てください。 目を閉じます。1つ。2つ。3つ。まぶたの裏側でシアターが。始まりました。 見てください。 私はまぶたの裏側で始まる映像を見ることにしました。すぐ近くからポップコーンの匂いがします。なんて香ばしい!!本当に手が届く範囲に大きめ
たんぽぽの綿毛をむしり取った。僕はその時とてもいらついていたから。そうしたらそのむしり取った部分がジュワッとただれてとけてきて、僕はたまらなく恐ろしくって、ひぃ、となきながらバケツをなげつけてやったんだ。そうしたらどうして、って僕の周りは綿毛だらけになってしまって。もうまつ毛の先にまで綿毛がフワフワとびまわっていて。 僕は汗だくになって目を覚ました。見たのはここ最近必ず見る夢。全くもって理解不明の夢だ。そのせいで僕は随分と日常に支障をきたしてしまっている。 ちなみに夢
なにもかもうまくいかないので 「ふぅ」 とわりかし長めのため息をつきました。 「ふぅふぅふぅ」 ため息ついてわかったのもので どうやら冬が隙間から 漏れ入り浸っていたようで、 「ふぅふぅふぅ」 ため息全部が真っ白に、 染まって凍ってゆきました。 寒い寒いと言いながら お風呂のお湯をはったけれど それがあんまりにも熱すぎて 身に染みる熱がこもったもので 「ふぅふぅふぅ」 「ふぅふぅふぅ」 熱い熱いとため息ついたら 入り浸っていた冬が
「ありがとっ!」 私がチロルチョコをあげた時、あなたはすらっとそう言った。コンビニでタバコを買ったそのついでに、ちょっと買っただけのチロルチョコ。なんとなく一緒にチロルチョコを買ったらお釣りがキレイになるからと、ただそれだけのなんの意味もなく買っただけで、なんとなくあげただけのそのチロルチョコに。あなたは何も疑いもせず 「ありがとっ!」 と言ってから、私よりも先にチョコを食べてた。 「ごめんっ!」 仕事中に携帯電話が勢いよく鳴って。珍しいのと驚いたのとで急いで電話に出たそ
子豚の真っ黒な瞳に映る少女は本当に美しく、輝いていました。沢山の人間に囲まれ、沢山の幸せと笑顔を倍に自ら産み出そうと踏ん張っていました。まるでどうして、子豚は少女の代わりに全ての憎しみを背負う必要があったのでしょうか。そんな子豚をみて少女は笑顔を振りまきます。子豚を嬲るその笑顔。 子豚は本当は恐ろしかったのかもしれません。子豚の存在価値が失われ、今まで必死に守ってきた少女がこのまま自分の力で未来へ羽ばたいてしまうことが。子豚が事実上ゴミのように捨てられることが。他の人間
いつの間にか眠り込んでしまった私を起こしたのは、先日拾った赤ちゃんでした。おぎゃあおぎゃあと大きな声で泣いています。赤ちゃんの仕事は泣くこと。不意にこの言葉を思い出しました。 それと同時に、急に冷静になった頭が私に語りかけてきます。赤ちゃんを1人ボッチにして仕事をするなんてできない。ちょうど転職を考えていた私にとってはこれは大きな問題でした。それに、勿論と言ってもいいですが、私には子供を育てるという経験がありません。姪っ子を抱っこしてあやしたぐらい。その程度。これからた
電話が鳴り響いている。しかもこんな早朝に。まだ朝日ものぼりきっていない。だが、その電話は鳴り響いているだけだ。誰も受話器を取ろうとはしていない。 『発信音のあと伝言をどうぞ』 『もしもし……お母さん?ごめんなさい、どうしても電話に出てほしいの。私すごく困っちゃって。お願いします』 無機質な発信音と流れるように吹き込まれる伝言。それだけが永遠とその家中に響いていた。 その鳴り響く奥の方、部屋の隅の方で何故か震えてうずくまる女性がいる。少し白髪が目立つ、が、しかしどこにでも
うらぞのちゃんは海が好き。海というか水も好き。ただ海の音を聴いたり、ザブザブと眺めていたりするだけでも好き。自殺するときは海に限るっしょっ!とか意気込んじゃうぐらい海が好き(これは冗談です、メンヘラジョークです) そして私の愛している人も海が好き。心の底から海が好きで、もし先に死んだら骨は海にマイテクレ〜なんて言っちゃうぐらい海が好き。私もそれにあははと笑って頷いちゃったくらい海が好き。 ある真冬の日です。うらぞのちゃんは横にいる彼に告げました。「海に行きたい」と。
ヤッホ〜、鬱々メンヘラ進行形、常に鬱度はing型のうらぞのちゃんでーす!!(全然ビックリマークをつけるところではない) さてさて、うらぞのちゃんの質問箱になかなかビビビッとくる質問が入ってました。これは是非とも語らせて頂きたい……(うらぞのちゃんの質問箱はTwitterで募集してると思います、たぶんね) ずばり!!人間ってなんで病むのさ!!! これはすんごい質問が来ましたね〜(遠い目)だって、この人間が病むシステムとかが合理的に説明できたとしたらノーベル賞もので
「ねぇ」 「なーに?」 「キャラメルコーンとポップコーン、どっちが好き?」 「今あたしタチが食べてるもの理解しててその質問してんの?」 「うん」 「なにそれ、ポップコーンに決まってんじゃん、てか見りゃわかるくない?」 いつもの学校帰り。いつもの帰り道。いつも二人でお菓子を買って、帰り道の途中、公園のベンチで買ったお菓子を食べる。いつものルーティン。私達の言葉にはしていないいつもどおりのお菓子の時間。 「なんでポップコーンが好きなの?」 「甘いの嫌いだから。なんか喉にひっ
ところで、どうして子豚は少女を隠しておいたのでしょうか?子豚として生きるよりも少女を育てたほうがいいと、みなさんだって思いませんか?だって、子豚は人間の言葉も話せないのですよ。 少女は心に素直で優しく、誠実で、気持ちの良いほど純粋な、どこにでもいる普通の少女なのです。何故子豚はそんな少女を暗闇に隠して、現実の美しいものを見えないようにしたのでしょうか? きっと子豚は理解していたのです。子豚の周りにはあまりにも燃えないごみで溢れてしまっていると。子豚の周りには少女が悲しみ
大きな大きな空の下。 小さな小さな女の子がぽつんと一人ぽっちで空を見上げると。 大きな大きなしずくがぴちょん。女の子の頭に落っこちました。 雨は降っていないみたい。しずくは少しだけしょっぱいだけです。 女の子がしずくの跡を探していると、見つけました。しずくの正体。 お空の上にポッカリと浮かぶ、大きな大きな女の子。 女の子というとなんだか不思議。凸凹だらけの灰色な女の子。 その子がずぅぅぅとしずくをこぼしていたのです。 困ったなぁ、困ったなぁ、このまんまじゃ大雨かなぁ。 小さな
子豚はどんどん何かに追われ、汚されていくような気持ちになりました。なぜでしょう。白いキレイなキャンバスに色々な色をのせつづけた結果、真っ黒になってしまったような気分になりました。それは、多分、本当は子豚のどこかの端っこに、ただ優しくて小さな小さな少女が座っていて、それに子豚が見ないふりをしていたからだからかもしれません。 子豚は中学生になってから、部活動というものに参加しました。それは子豚の中の少女が望んだことなのかもしれません。参加した部活動は吹奏楽でした。子豚も音楽は
私はその赤ちゃんをゆっくりと、ゆっくりと触り、温もりを感じてからしっかりと両手で触り、そのまま抱き上げました。少し風が強くなってきていました。ふんわりと赤ちゃんの柔らかな髪が揺れています。たんぽぽの綿毛を思い出しました。少しだけまつ毛が揺れて、また少ししてから、その赤ちゃんはふわっとまぶたをあげ、吸い込まれるように真っ黒な深い瞳の奥で私を取り出し、そしてニッコリと笑いました。そのままキャラキャラと笑い出しました。聞いたことのない笑い方をする赤ちゃんです。私があまりにヘンテコ
さて、急に始まった新しいお父さんとの生活。ちょっとわかりにくいので、新しいお父さんのことをこれから豚肉さんと呼ぶことにします。 豚肉さんは結構御硬い仕事をしていました。そしてデキちゃった結婚だから、一瞬にして入籍し、お母さんは妊娠症候群になってしまったので、しばらく産婦人科に入院することになりました。急に豚肉さんのお家に引っ越すことになった子豚は脳の処理が追いつかず、どうすればいいのか分からず、しかもすぐにお母さんが入院してしまったので、今まで他人でパッと出てきた豚肉さん