桃山文化の二面性
久しぶりに自由の身。
「京都・智積院の名宝」展で、日本の美を堪能してきました。
特に今回の目玉は、長谷川等伯による「楓図」「桜図」などの桃山文化を代表する絢爛豪華な金碧障壁画(濃絵)。
等伯といったら、真っ先に日本水墨画の最高峰とされる、瀟洒閑寂とした「松林図屏風」が連想されるので、狩野派の流れを汲み、金碧障壁画のなかでも傑作と称される作品まで手掛けていたとは知らず、驚きました。天才は何でも描けるんだな。
それにしても、かたや贅のかぎりを尽くした煌びやかな濃絵と、かたや幽玄で余白の美を感じさせる墨絵。対照的な画風が同居する桃山文化の二面性が非常に面白いです。
思えば戦国の動乱を終息させ、天下が統一された時代。活気あふれる新しい時代には、新しい権威の象徴として、黄金に光る力強い絵画が求められたよう。南蛮文化、新興大名や豪商たちの影響もありました。
調べてみると、表座敷や客間などといった公的な空間には金碧障壁画、私的な空間には水墨障壁画が好まれたそうです。
強気で見栄っ張りな反面、繊細で内省的なメンタリティを隠しもち、均衡をとろうとしていたのかもしれません。
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