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エジプトで男子トイレに誘導された話

もう 15 年近く前になるが、エジプト旅行に行ったことがある。

木下斉さんの「きのさんぽ」のタクシー話を聞いて、ふいにエジプト旅行の記憶が蘇った。

※スマホが普及する前の頃。写真がデータ(クラウド)に残ってないと、脳内の記憶頼りになる。スマホで写真をいつでも好きなだけ撮れる今の時代との大きい変化を感じる。


ジロジロ見られる日本人女性

エジプト旅行で強く記憶に残っているのは、現地の人からの視線だ。
現地の女性は眼以外布で覆い被さる服装をしていた。海外旅行者はそれだけでジロジロ見られる。

国民性だろうか。日本だと目が合うとスッとそらすことが多いと思うが、エジプトだと全くそらされない。こちらが逸らさない限り、永遠に見つめ合い続ける。

そしてタクシー。
乗る前に料金交渉をするが、最初は 100% ぼったくり料金なので、交渉して乗るまでが毎回時間かかるうえ、観光客を見つけるとこれまた 100% クラクションを鳴らしてくるので、最初はこの無遠慮な視線とクラクションの嵐にだいぶ戸惑った。

バクシーシ

エジプトにはバクシーシという考え方がある。

「バクシーシ(富める者が貧しい者に施しを与えること)」という習慣があります。チップの概念が含まれる場合もありますが、観光客の訪れる場所には、対価なくバクシーシを求めるエジプト人もいます。

外務省海外安全ホームページより

富める者は貧しい者に施しを与えて当然、という価値観だ。
それがベースになると、例えば売店で飲み物を買う時でさえ、明らかに表示されている値段と異なる観光者価格の言い値を、息を吐くように何の悪びれもなく自然に言ってくる。
当時はスマホも持ってなかったから、その場で調べる手段は多くない。
騙されないように気を張りたい思いと、どこで割り切るかの見極め。
個人旅行だったので、よくあんなチャレンジングな旅をしたなと思う。若さ故だ。

メンフィスにて

そしてタイトルの回収。
エジプトにて、最も記憶に残っている出来事がある。(ピラミッドじゃないんかい!)

いろんな記憶が零れ落ちているが、なぜかエジプトのこの地名だけは忘れられない。

料金交渉して乗ったタクシー(サイドミラーが壊れていて、運転も荒く、大丈夫かいなと冷や冷やした)にて向かったメンフィス。
ここのトイレで男子トイレに誘導されたのだ。
入口で小銭を徴収されるシステムで、その門番に、過の日の私があまりにカジュアルでボーイッシュな格好をしていたからか、男子トイレに誘導され、男子トイレだと思わずそのまま入って、思い出したくない汚い個室に入り、出たところで男性がいるからビックリ、向こうも急に私が出てきたからビックリ、「男子トイレやん!!」と帰り際門番を睨み付けて出た。(入った時は無人だった)

⭐︎⭐︎⭐︎
「ピラミッドを実際に見て歴史を感じ、感動した」という綺麗な思い出だったら良いが、実際の私のエジプト旅行の記憶で印象深く思い出されるのは、現地の人の無遠慮な視線と、バクシーシ前提の気を張ってた記憶と、食べ物でお腹を壊して苦しんだことと、男子トイレに誘導され「メンフィス」という地名と共に深く記憶に刻まれたことだ。

※冒頭記載の通り、だいぶ前の話なので、今は大きく異なることもあろうかと思う。

何しに行ったんだ…と思うようなハードな旅に思えるが、ただ「行かなきゃ良かった」と思ったことは当時から全くなく、今となっては体験できない当時だからこその貴重な人生経験だったかなと思う。

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