【短歌】みづうみ
とほくちかく楽はながれてさらさらと古きフィルムに降りつづく雨
櫂の音 舟と舟とがかち合ふ音 霧ふかき湖にしづかに響く
あをじろき真珠のつぶを吐くやうに語るをみなのこゑやはらかし
ゆたかなる黒髪は束ねられしままつひに男のかほを覆へり
いまもまだただよひてゐるかもしれずみづうみに死者をのせたる舟は
初出『西瓜』第九号〈ともに〉欄
〈ともに〉欄の〆切間近になっても何も思い浮かばず、投稿をあきらめかけていたとき、なんとなくアマプラで観た『雨月物語』に触発されて、あっという間にできた連作でした。
美しい映画だったな…。
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