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「経営力を高める」②経営管理を機能させるための知識

以前、「経営力って何だ?」では、経営力とは現状とありたい姿との差を埋め合わせる力、理想の状態に近づける力と定義しました。

また、経営力は経営者特有の能力ではなく、一般の人が私生活でも活用できる能力で、人生をより豊かにするものであるとお伝えしました。

今回は、その経営力の3要素のひとつである「適切な経営管理」について考えてみたいと思います。


経営の3要素

端的にいえば経営は、ありたい姿と現状の差を埋めるための課題に対して、PDCAを回すことに他なりません。

そのPDCAを機能させるために「適切な経営管理」「好ましい組織風土」「リーダーシップ」の3要素が必要となります。

具体的には、PDCAを機能させるために必要な経営管理の知識力、PDCAの質を高めるためのコミュニケーション(情緒)力、PDCAを回すエネルギー源となる意志力です。

この3つの力の頭文字を取って「知情意(ちじょうい)」というと記憶に留めやすいかも知れません。今回は、知情意の「知」の部分、経営管理の知識について、取り上げたいと思います。

「適切な経営管理」を機能させる知識

経営管理はPDCAを回すことと同義なので、そのために必要な知識を先ずは整理したいと思います。
PDCAは、P計画、D行動、C評価、A改善といったイメージで捉えています。

PDCAの詳しい定義は学者さんに任せるとして、経営の現場レベルでは、実用的なイメージが出来れば問題ないでしょう。

それでは、ここからが本題です。

P 計画を立てるのに必要な知識

中小企業診断士の試験や実務補習では、計画を立てる前段階の情報収集や分析手法について学びます。そのひとつひとつをこの場でお伝えすることはボリューム的に現実的ではないので割愛します。

また、企業支援の現場でも、そんなことを網羅的に実施する時間はありません。経営の現場は学校ではないので、必要最小限のことを実践を通して体験出来れば充分です。

計画づくりの核心は、ありたい姿(理想)と現実の差を客観的に把握し、「その差=問題」を洗い出し、解決策(課題設定)をリストアップして、優先順位を付けて、行動計画を作成することです。

計画づくりの知識はこれで充分です。解決策の検討段階で自社の強みや弱み、外部環境等を考慮する必要はありますが、お客様や現場に目を凝らして、耳を澄ませば、自ずと解決策が浮かんでくるはずです。

D 行動するために必要な知識

会社は組織活動を行う場なので、自分ひとりだけで行動すれば良いということではありません。前提として、複数人が行動を起こすための準備が必要です。

また、準備するだけでなく、その内容を周知したり、分担したり、作業効率を考えたりしなくてはなりません。そういったことにも知識が必要となります。

そこで、計画で立案した解決策を実行するための行動計画を立てます。解決策を細分化して、作業レベルに落とし込んだものを箇条書きにして、納期、工数(必要日数)、管理者、担当者を明記します。

その行動計画を管理者と担当者に共有してスタートを切るわけですが、その前に大切なことがあります。それは、担当者をいかに動機付けるかです。

この点については、「好ましい組織風土」「リーダーシップ」の章で改めて説明したいと思います。ここでは、行動計画づくりまでとさせて頂きます。

C 評価をするための知識

行動の結果を評価するために必要なことは、行動を開始する前に評価基準を決めておくことです。事後に良かった、悪かったと言っても、何を基準に判断するのかで、人により差が生じます。

売上や利益といった定量化できる基準は分かり易いのですが、知識の習得や衛生レベルの強化といった定性的な目標は評価もぶれがちです。

そこで、知識なら、確認テスト全員合格とか、衛生なら、外部機関の衛生検査で80点以上など、定性的な活動を指標化することで、実現可能性を高めることができます。

A  改善策を立案する知識

Cの評価をきちんと行えれば、この状態(現状)と初めに設定したありたい姿を比較して、その差を明確にして、その差を埋める課題を設定し、優先順位を付けて、また行動計画を立てて実行するというサイクルを徹底して繰り返すだけです。

まとめ

以上が経営管理を行うための知識です。あれやこれやと経営指南本には書いてありますが、机上の空論ばかりで、役に立つものは殆んどありません。大事なことは、シンプルにPDCAを回し切ることです。

あれもこれもとやることで、仕事をしている気になることが、一番の問題です。それに振り回される現場はたまったものではありません。よりシンプルに問題解決の最短ルート描くことこそが経営力だと思います。

今回は、経営の3要素の中から、「適切な経営管理」を行う上で最小限必要な知識について、まとめました。

中小企業向けに実施している中間管理職育成プロジェクトでは、担当チームの経営管理の実践を通して、事後的に経営管理の知識を体得して頂けるようサポートいています。

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