「ブルシット・ジョブ」と日本社会(その1)
清水利尚
(博士(学術)、独立研究者、一般社団法人 社会科学総合研究機構 理事)
はじめに
『負債論』や『官僚制のユートピア』などの著書で知られるアナーキスト人類学者のデイビッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の社会理論』が話題を集めている。グレーバーは” We are the 99%(われわれは99パーセントだ)”というスローガンで行なわれた2011年のニューヨークでの” Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)”の理論的指導者として知られる反グローバルを訴えるアナーキストのアクティビストでもあった。
筆者はちょうど彼の『ブルシット・ジョブ』を読み終えたタイミングで9月2日に彼の訃報に触れ(1)、これから「ブルシット・ジョブ現象」について様々な議論が盛りあがるところだったのに、と落胆した。ご冥福をお祈りする。
さてこの『ブルシット・ジョブ』は、もともとは『ストライキ!』というウェブマガジンにグレーバーが寄稿した記事を発端としている。その記事の冒頭は以下の通りだ。
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