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社員の不祥事に対応できる損害保険
一流企業の社員の犯罪 モラル崩壊?
2024年11月22日の日経新聞によると、
三菱UFJ銀行は22日、東京都内の2つの支店の貸金庫から顧客の現金や貴金属を盗んだとして、貸金庫の管理を担当していた行員を14日付で懲戒解雇したと発表しました。同行は盗まれた資産が顧客約60人分で被害総額は十数億円に上るとしています。
同行によると、懲戒解雇されたのは店頭の業務責任者だった行員。2020年4月〜24年10月、練馬支店(旧江古田支店を含む)、玉川支店の2支店で貸金庫を無断で開け、顧客の資産を繰り返し盗んでいたそうです。
また、元野村証券社員が80代夫婦の自宅に放火し現金を奪った事件では、広島地検は20日、強盗殺人未遂と現住建造物等放火の罪で起訴しました。夫婦は元野村証券社員の顧客でした。
起訴状によると、容疑者は7月28日午後5時35分~同7時45分ごろ、広島市西区の民家で住人の女性に睡眠作用のある薬物を服用させた上、現金約1787万円を奪い、住宅に放火して殺害しようとしたとされています。
このように、一流会社のエリート社員が相次いで犯罪を犯している。日本人のモラルはどうなってしまったのでしょうか?
社員の犯罪を補償対象とする身元信用保険
皮肉な事に、この様な社員の犯罪について損害賠償できる保険があるのです。それが身元信用保険です。
身元信用保険とは、従業員が保険期間中に行った「不誠実行為」によって、雇用主等である企業が被った損害に対して、保険金をお支払いする保険です。
「不誠実行為」とは、従業員が自己の職務の地位や業務上の権限を利用して行う、窃盗・不動産侵奪・強盗・詐欺・横領または背任行為のことをいいます。
従業員を雇用する企業、公共団体が加入できる保険です。
身元信用保険と身元保証人制度
身元信用保険は、そもそも身元保証人制度の代わりとして作られました。
身元保証人制度では、採用時に入社する社員1人ずつと保証人制度を結ぶ必要があります。
また、身元保証人は損害賠償義務を負う事から、身元保証人になってもらう人を探すのも大変になってきました。
身元信用保険に加入すると、全従業員を包括的に被保証人とすると事ができ、保険契約を1年ごとに更新すれば、権利関係は続きます。
身元保証人制度は期間を定めなかった場合は3年間、期間を定めた場合でも最長5年間と法律で定められており、身元保証制度を結びなおす必要があります。
また、身元保証人制度においては、資力に限度があり満足いく回収ができない場合があるので、身元信用保険を採用する企業も増えてきています。
私は30年近く損害保険に携わってきましたが身元信用保険の存在は知っていましたが、この保険を契約したことはありませんし、契約した他の募集人も知りません。
身元信用保険がクローズアップされるモラルが低下した世の中は、なんだか寂しい気がします。