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国鉄時代に北海道を走った貨車: タサ5700
国鉄時代の一般的な貨物列車には決まった編成はないものの、荷主となる企業が所有する私有貨車が組み込まれることで、その路線の特徴が表れていたりします。
1970年代に宗谷本線を走っていた貨物列車によく組み込まれていたのが、LP輸送を示すグレーに塗られた長いボディのタンク車、タサ5700でした。貨物列車に一両だけ繋がれていることが多く、短い二軸の冷蔵車や有蓋車、無蓋車、緩急車の中で目を惹くアクセントになっていました。
その一例が上のサイトに掲載されている写真で、一両だけタサが含まれた(ここに写っているのはタサ5700とほぼ同型のタサ5400かもしれません)宗谷本線の貨物列車らしい編成です。こんな風景と編成を再現できればいいですねー。タサ5700については、北海道の貨車に関する貴重な情報と16番ゲージの素晴らしい作例が掲載されている「貨車LABO」がとても参考になりました。
Nゲージではさまざまな貨車が発売されていますが、タサ5700の完成品は市販されていませんでした。古い情報ですがModel 21からコンバージョンキットが販売されていたことが分かり、問い合わせてみるとまだ2セットだけ残っているとのことで、最後のチャンスと入手してみました。
このキットは80年代に発売されていた古いトミックスのタキ25000を改造するもので、バラ売りされていない台車も別途調達する必要があるなど、今となっては準備もそれなりに大変です。タキ25000はメルカリで見つけ、台車は中古のホキ800から転用することにしました。
説明書に制作方法が詳しく書かれており、その手順通りに組みましたが、タンク上部の手すりがとても繊細で何度も曲げてしまい、ヒヤヒヤしながら作業しました。2台目は相当気をつけて作業し、何とか曲がりなく進めていたのですが、最後の過程で大きく痛めてしまってガッカリ。完全には修復できず、やや歪んでしまって残念です。必死すぎて写真は撮り忘れていますが、何とか組み上げて塗装。最後の在庫をあまり綺麗に仕上げられず、何だかちょっと申し訳ない気分です。
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このキットはタンクの外側に金属のパイプ状のキセ(保温用の遮熱板)を被せる構成で、このキットではタンクが1mm強ほど太いようです。実物ほどスラっとしていないような気もしますが、編成内で他のタンク車と並ぶこともなさそうですし、太めなので存在感もあると言えるかもしれません。
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長らく完成品が存在しなかったタサ5700ですが、昨年末になって発売されたトミックスの「国鉄 羽越本線貨物列車セット」に、このタサ5700が収められています。ただ、他形式の流用・塗り替えのため手すりなどが異なるようで、しかもセット販売で他に欲しい車両も入っていないので、これはパスかな。何より自分で手を動かしたものには自然と愛着が湧くので、この2輌を大切に走らせようと思います。