自然食堂からの慶熟食品開発へ!
パンをあきらめずに進むかやめるか?
結果やめました。
パンはお米よりも人気があって集客力も高い。でも油が酸化していたり、よろしくない小麦も多く、僕は食べるとカラダが少し重くなる。その問題を解決するめどはついたが、食べるとモリモリ元気が出てくる!というわけではない。獲れたての魚や野菜を美味しく料理して食べると、カラダに力がみなぎって、「よーし仕事するぞー」になるが、パンはそこまでに行けない。粉にした時点で多くの細胞が壊れ、食材の本来のパワーが飛んでしまうからだろう。
発酵玄米とぬか漬けと重ね煮の味噌汁に、自家製ヨーグルト、鯖バーガー、北京ダッグ風吉祥鶏、カレーやピュアなおでんなど、いろいろメニュー開発をして、相性の良いお客様にはとても喜んでいただいていた。メインの発酵玄米は、日によって美味しさが変わる。美味しくたけた時は涙が出るほど美味しい。けれど発酵ものなので、毎日100点の玄米を出すことが出来ず、ご評価はいろいろだった。
本物を食卓に届けようと始めたお惣菜のテイクアウト。冷めても美味しいお惣菜にするには、塩や砂糖やお醤油を必要以上に使って味を濃くする必要があった。自然食堂と謳いながら心苦しくなった。高価な調味料ばかり使っていて原価も高い。深澤君とは別に数名の料理研究家にレシピ開発をお願いしたが、皆、1,000円前後のランチでこんなに高い調味料を使っているレストランは無いと驚いていた。そう言えばキムタクのお母さんがランチに寄ってくれて「趣味でレストランやってらっしゃるのかしら?」と申されたことがあった。お母さまは以前イタリアンレストランをやっていらっしゃったのですね。的確なご指摘でございました。
そんなこんなでOPENから2年間赤字を続け、これ以上赤字が膨らむと本体に影響が出るというところで店仕舞いすることに。経験不足の素人が未知の分野に手を出して失敗しました!というあるある「あほ」パターンだった。
赤字とは、お金を減らしながら、業者様や仕入れ先様やスタッフの皆さんにお金を渡すということだ。そう考えると徳を増やしていると言える。お徳貯金だ。貯金は後で崩せる。優秀な企業経営者にそんな話をしたら、利益を出さない経営は社会悪であるとコテンパンに言われるだろう。けれど、自分の研鑽不足を棚に上げながら、そう考えると不思議と前向きになれた。(はい、言い訳です)
閉店と前後してパンの発酵技術でお世話になっていた白神こだま酵母開発者の高橋慶太郎先生と進めてきた共同研究に光が差し始めた。酵素に刺激を加えると、想像以上にびっくりするような変化が起こる。糖度が極端にあがったり旨味が上がったり日持ちが伸びたり。添加物を加えなくても自然界に普通にある刺激を組み合わせると、調理の世界の常識が覆えるような事が度々起こった。
そこで残ってくれた食堂のスタッフと共に、新しい食品開発に乗り出す事になる。その技術に慶太郎先生の一文字を頂いて、慶熟浄穣製法と名付けた。
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