#024 下請の残業を元請が管理する時代
2023年6月9日(金)配信
建設業の2024年残業規制スタートまで残り10ヶ月を切りましたが、
国土交通省の検討会が3月に公表した資料によれば
一定規模以上の工事については今後「元請けが下請の残業時間の管理」
をすることになりそうです。
▶元請が下請の残業時間を管理する!
国交省の長文資料を要約してみました。以下の通りです。
===(ここから)=====================
建設業において、
大規模な工事は多く下請が参加し請負が重層化しがちである。
下請が多いと災害や労働者への賃金不払など色んな問題が生じるので
建設業法では元請に対し下請が法令に違反しないよう
指導する義務があるとしている。
法令とは、
・「建設業法」
・「建築基準法」「宅地造成等規制法」など施工関係法令
・「労働基準法」「職業安定法」「労働安全衛生法」など労働者関係法令
等である。
2024年4月から始まる罰則付き残業規制において、特に下請については
これを遵守すべきは労働者を直接雇用する下請であることに違いない。
しかし工期厳守のため、元請が下請に対し突貫作業を指示したり、
あるいは元請の指示がなくても、下請自らが請負責任で突貫作業をして
その結果、下請の残業時間が上限を超えてしまえば、下請はもとより
元請や更には発注者に至るまで、工期・工程に無理がなかったかどうか、
責任を問われかねない。
なので、下請が多くなる大規模工事については、
元請・下請が相互に残業に注意し、上限に達する前に発注者も交えて
工期延長や工法変更、人員の追加などを協議した方がいい。
またその観点から元請については、
下請ごとの36協定まで把握する必要はないが、
下請の残業時間に注視し上限に達しないよう働きかけるなど、
指導すべき立場にあることをハッキリさせる必要がある。
===(ここまで)=====================
前々回の記事でも書きましたが、
建設業法で新たに規定された「著しく短い工期の禁止」では、
工期が短いかどうかの判断項目に”残業時間”が含まれています。
要するに、
下請の残業が上限を超えるほど多い=著しく短い工期である=違法、となり
元請や発注者まで責任を負うことになる、って話です。
だから元請は下請の残業をしっかり管理しなさい、と。
ただ「元請は下請の残業管理をしなければならない」という理屈であれば、
元請がちゃんと管理できているのか、発注者も元請を確認しないといけない、という理屈にもなります。
来年から始まる残業規制ですが、
建設業は、単に自社社員の労働時間を管理すればいい、という話では
ないようです。
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