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#064 「多重下請け構造」どうして生まれた?

2025年2月18日(火)配信


建設業は、未だ「多重下請け構造」だと言われますが、それは一体どうやって生まれたのでしょうか?なぜ多重下請け構造になったのでしょうか?


今回は、この2月に発行されたばかりの書籍「建設ビジネス」から建設業の多重下請け構造の成り立ちについて書いてみたいと思います。


この本によれば、戦後の建設業界は「元請け」と「一次請け」の2つしかなく、多重請負化が始まるのは高度経済成長期以降で、バブル崩壊後に更に複雑になったそうです。


重層化は、バブル崩壊後の1992年から2000年までの業界不況期に建設会社の数が増え続けるという「奇妙な現象」から始まります。


不況で仕事が少ないのに、なぜ建設会社が増えるのか?


その理由の一つが「労働基準法逃れ」です。小さな建設会社をたくさん作り、働く者を役員=取締役にすれば、労働者ではなく使用者になるので残業制限がなくなります。


更にもう一つの理由が「社会保険逃れ」です。「個人事業主で常時雇用する従業員数が4名以下」の場合、事業主は社会保険加入の義務はありませんから、当然会社のコスト負担は減ります。


要するに小さな会社をつくって「様々な規制逃れをすることで激化する低価格競争を乗り切ろうとしたのが当時の建設業界」であり「法律を守らないことが価格競争力になる」と言っていた方もいたようです。


「外注に出せば安くなる」という発想もこの時期あたりです。工事会社が直接雇用していた職人を一人親方化すれば、前述の規制逃れの活用でコストを下げることが可能です。


この本では、
「結果、職人を直接雇用しない、施工管理のみの元請け、管理会社が多く生まれ」
   ↓↓↓
「元請けが職人を直接雇用して工事をしなくなり、商社化した」
と書いています。


「建設ビジネス」にはこのほか、建設業界について興味深い内容が数多く書かれています。ぜひ読んでみてください。


建設ビジネス:髙木健次 (著)



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