#055 職人が週休2日にならない理由
2024年10月7日(月)配信
前回に引き続き、
とび、大工、左官、塗装といった職人の会社(専門工事会社)で構成される団体、一般社団法人)建設産業専門団体連合会が毎年行っているアンケート調査から、職人の週休2日は何故できないのか、書いてみたいと思います。
職人の会社に対し、
「貴社が週休2日制を導入できない(していない)理由は何ですか?」
と質問したところ、回答はこうなっています。
▶下請け工事会社(職人が在籍する会社)が週休2日を導入できない理由
上位7位までが以下の通りです。
【1位】64.8 % 適切な工期が確保できないため
【2位】47.0 % 元請企業が休ませてくれないため
【3位】43.1 % 人手不足のため
【4位】35.7 % 日給の労働者の収入が減少するため
【5位】28.3 % 休日の増加により企業のコストが増すため
【6位】19.5 % 作業員等が土日の作業を望んでいる為
【7位】16.2 % 残業が増えるため
※複数回答方式です。
【7位】の「残業が増えるため」とは、
仕事量と働く職人数が同じで、働く日数が減ったら当然残業が増える訳だから、それじゃ週休2日やっても意味ないでしょ、ってことでしょう。
【6位】の「作業員等が土日の作業を望んでいる為」は、
作業を望んでいるというよりも日給月給制で土日働かないと月給が減っちゃうから週休2日は必要ないって理屈でしょうね。
【5位】の「休日の増加により企業のコストが増すため」は、
これ幾つかあるでしょうが、例えば週2日休んでも職人の月給をこれまでと同じにしようと思えば結果的に賃上げになるとかが一つの理由でしょう。
【4位】の「日給の労働者の収入が減少するため」とは、
6位の「作業員等が土日の作業を望んでいる為」と同じでしょうね。
【3位】の「人手不足のため」とは、
週休2日にしても工期や仕事量が同じなら、交替で土曜出勤とか必要になるけど人員にそんな余裕ないから出来ないよ、って話ですね。
【2位】の「元請企業が休ませてくれないため」と
【1位】の「適切な工期が確保できないため」は、ほぼ同義でしょう。
職人の会社=専門工事会社は殆どの工事で下請けですから、
「適切な工期が確保できない」っていうのは、元請が余裕を持った工期を設定してくれないって事です。下請に工期の設定権はほぼ無いでしょうから。
こうやってみると、
職人の会社が週休2日にできない理由は大きく以下の3つでしょうね。
・元請によるもの
・人手不足によるもの
・コストによるもの
でもこれって、ハッキリいって職人の会社自身で解決することは難しいですよね。
元請が週休2日を前提とした工期やコストを担保してくれない限りと下請の努力にも限界があります。
職人に週休2日制が定着するのは、まだまだ先のようですね。
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