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#033 検査の「品質・出来栄え」モニター越しで大丈夫?

2023年10月27日(金)配信


国土交通省発注工事の「リモート検査」が本格化してきました。
国交省はこれまでも、工事施工途中に行う「段階確認」や「立ち会い」
「材料確認」更に「中間検査」などで職員のリモートによる現場臨場を
行ってきました。


今年3月には「検査」の更なるリモート化に向けて【試行要領案】を策定し、今年度、全国64件の工事(先月9月末時点)でリモート検査の施行を予定
しています。


さすがに「完成検査」では実施しないようですが、
工事代金を支払うために必要な「既済部分検査」や「完済部分検査」で
リモートに適した検査項目や工種などを精査していくとのこと。


そして、このリモート検査の施行で一定の効果が認められれば、
早ければ2023年度末にも【実施要領】等を決め、本格的にリモート検査を
展開していく方針のようです。


個別の工事において検査で具体的に何をリモートするかは、
現場条件などを踏まえて国土交通省側が調整するようですが、
「出来形」「品質」「出来栄え」を現地ではなくリモートで検査する事が、
今回の目玉みたいですね。


ただ、どうなんでしょうか。
「出来形」は、規格値に収まっているかなどリモートに適性はあると思いますが、「品質」と特に「出来栄え」なんて、リモートで国交省の職員が判断できるものなのかどうか。


それに、人手不足やDXが進むこの時代的には仕方ないんでしょうが、
建設業の「現場主義」がどんどん薄れていってしまう気がします。
現場はあくまで現場であって、モニター越しでどうこう判断するものじゃない、そう思う人は多いはずです。特に建設は1点モノの製造業ですから。


正直、私は否定派です。時代や業界環境の背景はあるでしょうが、
このままリモート化が進むと逆に大きな損失が発生する気がしてなりません。


リモート化は、業者は喜ぶでしょうし役所側も業務効率の改善になるでしょうし双方にメリットがあると思いますが、それで建設業の品質が担保できるのか。
非常に疑問が残ると思います。


国交省工事のリモート化は、コロナ禍もあり2021年度は約2700件、
2022年度は約3800件と急拡大していますが、
大きな事故でも起きないといいが、と思うのは私だけでしょうか。


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