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#008 大手ゼネコンBIMの活用度合い

2022年9月23日(金)配信


前回に引き続き、BIMの普及についてです。
まずは、意匠設計、構造設計、積算における活用度合いから。


▶意匠・設備・積算でBIMは活用されてる?


日建連のデータによれば
意匠設計では、全体の活用率は1/3ほど(35%)ですが、
BIM導入後6年以上のベテラン企業では46%と半分近くになっています。


対して設備設計では、全体の活用率は1/5ほど(19%)で、
ベテラン企業でも1/4程度(27%)です。


積算(見積り)も、比較的容易に思える躯体数量の算出でさえ
11%(ベテラン企業は15%)とBIM活用度が高いとは決して言えません。


操作が複雑で大変だと言われるBIMにおいて、
現在の活用方法で一番多いのが「合意形成」と言われてますが、
やはり設計や積算での活用もこの数字を見る限り進んでいません。


次に、設計と施工間でBIMの連携が出来ているか、です。


日建連は大手ゼネコンですから、当然DB(デザインビルド)など
設計施工一貫での案件も多いはずです。
当然、設計のBIMモデルは施工に活かされていると思ってしまいますが・・・。


設計と施工が「一貫」する場合と
設計と施工が「分離」する場合とで、
設計(事務所)と施工(ゼネコン)はBIMモデルをどの程度連携しているのか
データを見てみましょう。


▶BIMの設計・施工間の連携は?BIMの施工管理での活用は?


設計と施工を一貫する方式では、当然BIMモデルの連携はされているものと
思いがちですが、実際には違うようです。
「施工での設計モデルの継続活用」率は、全体で22%、ベテラン企業でも
28%にとどまっています。


設計と施工を分離する方式では、この率はなんと3%しかありません。
そもそも、設計と施工ではモデリング自体が違う事が要因のようですが、
それにしても、このデータを見る限りでは施工で設計モデルを使う事はほぼ無いと言ってもいい状況です。


また、施工におけるBIMの活用目的も、
「打合せ・合意形成に活用」が全体で35%、ベテラン企業で43%を占め、
その他の活用項目を圧倒しています。
やはり、現状のBIMは「合意形成」に使われる事が多いようです。


最後に今後のBIMの課題についてですが、
データでは回答企業の8割ほどが以下の4項目をあげています。
※各項目下の補足文は、あくまで当社の考察です。


▶現状でのBIMの課題とは?


(1)設計・施工・製作間のデータ連携
せっかく設計でつくったBIMモデルも、そもそもモデルの仕様自体が
施工には使えない場合が多く、BIMの施工モデルを改めて作る必要がある、
といった事態になってしまう。


(2)施工での効果的なデータ活用
やはりBIMは、合意形成での活用が殆どになっていて、
宝の持ち腐れ状態になっていることが多い。


(3)BIMモデル・2D図作成の重複業務による不整合の発生削減
BIMが、なかなか活用できていない(普及していない)状況では、
これまでの2次元図面を平行して活用する事になるので、その重複による
間違い・ミスや混乱が起きている。


(4)費用対効果の把握
業界内でBIM、BIMと言われ、いろいろ試行錯誤しながらやっているが、
要するにこれって本当に業務の効率化になっているのか。


BIM、なかなか難しいですね。


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