モノローグでモノクロームな世界
第二部 第一章
四、
「どこに行けばいいんだろう。私達。」
私の手を掴む彼女の声が、かぼそい糸のように私の耳に届いた。
その儚げな声に何かを返さなければいけない。私が彼女の方を振り向こうとしたその瞬間。
空から溢れるすさまじい光。
思わず瞼を固く閉ざす。
続けざま、全ての物を根こそぎ奪うような凄まじい突風に襲われ、その暴力的な風に、呼吸をすることができず、ただその場にうずくまった。
周りの建物だろうか、バリバリと不気味な音をたてながら、破壊されていく音が鼓膜を乱暴なまでに揺らす。
自分の身体がどこにあるのか分からない程の恐怖と不安。
その時、誰かの手が私の体に触れた。
その強く押す力に、私はなぜか固く目を閉ざしたまま涙を流した。
その涙すらも、風が乱暴なまでに奪っていった。
一体何が起こったのだろうか。
この時、この場に居た誰も、何も分っていなかっただろう。
こうして、私の、否、私達の世界は呆気なく終わりを遂げた。
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