アラベスクもしくはトロイメライ 25
第五章 四
12月24日(金)
笑っちゃうような話って本当にあるんだ。
(ここから先数行は、文字が滲んでいて判読不能)
私はそれでも、偽物の花園風花でいたこの十数年を後悔していない。パパやママやお兄ちゃん達と偽物だったとしても”家族”で居れたことも、樋賀砂奈や志摩華唯に会えたことも、・・・・・・本物の風花に会えたことも。彼女は私がこの学園に入らなかったら、こんな事にはならなかったのにねと言っていたけれど、多かれ少なかれどう転んでもこの事態になっていたと思うし、その時、私が下す決断もきっと変わらないだろう。それならば、私はたとえその先に破滅が待っていたとしても、砂奈や華唯に会う方を選ぶ。
どうか、誰も自分を責めないで。これは、私自身が決めた事。
誰のせいでもないし、私は私のために、自分を解放してあげるのだから。だから、これは最後の私へのクリスマスプレゼント。
さようなら、この世界。
さようなら、パパ、ママ。
さようなら、私が愛したもの。
さようなら、風花。
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