モノローグでモノクロームな世界 White Noise#1
真っ赤な太陽が沈んでいく。
それは嘗ての世界では当たり前の夕暮れ時の光景であった。
それと共に、今のこの世界では絶対にありえない光景だった。
だから、これはこの世界の夢なのだ。
そう結論づけ僕は、前方に立つ彼女の頭めがけて銃口を向けた。
『世界が良い方に向かっている、なんて、そんなのただの希望的観測よ。』
そうかつて語っていた唇は、固く閉ざされたまま開かれることはなかった。
どこか達観したような瞳は、この先も永遠に僕を捕える事はない。
果たしてこれは何度目の殺人行為だろうか。
僕は偽りの夕陽に照らされながら、通貨儀礼のように毎回、想いを巡らせる。果たしてこれは何度目の回想だろうかと。
この白い世界で、ここだけが色を持っていた。
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