見出し画像

アレグロ・バルバロ11

 私達はどこで間違えてしまったのだろうか。

最後に飛んでみようなんて、そんな馬鹿なことを考えてしまったから?

『貴方は貴方のままでとても綺麗よ。だから、この先の未来を見つめて。』
そう話してくれた蛇の鱗を持つ女に、口留めするのを忘れたから?

彼女は、続けて言った。
『皆、何かを失って、その代わりに何かを得て。そうやって、後悔と懺悔と少しの希望を抱きつつ生きているのよ。』
でも、私は知っている。
飛べない鳥は、とても無様で、役立たずで、少しの希望を抱く事も許されない程に、後悔と懺悔を背負い続けるという事を。
だって、私の両親は、飛べなくなった翼を持つ故に、棄てられたのだから。

 私達は、どこで自らの終わりの引き金を引いてしまったのだろう。
あの空のその先へ、行けるなんて、そんな夢に手を伸ばしたから?
それとも、
一緒にアレグロと行けるなんて、淡い幻想を抱いたから?

 終わりが見えている未来に、
希望を抱くことも、
未来を見続けることも、
現実を歩くことも、
もう無理そう。
それだけは、
確かで、
それだけは、
真実だ。

だから、
これ以上は、ごめんね、もう無理なんだ。
せめて、君が全て忘れてしまえるように、
私は、私の最期の引き金を自ら引こう。
さぁ、さっさと、終幕の鐘を鳴らしてしまえ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?