アラベスクもしくはトロイメライ 22
第五章 『世界を言葉でなぞった。正解はどこ?』
一、
10月25日(月)
今の私を支えている物。
樋賀砂奈が紡ぐ物語。
志摩華唯が私を呼ぶ渾名。
砂のお城。
足が二本と頭だけの玩具。
私達だけの秘密の暗号。
いづれ、物質は還元する。だから、私も還元されなきゃ。
本物の風花が私から全てを奪ってしまうその前に、私は私の意志で物質になるの。
誰が悪いわけでもない。
これは、私の自由意志により、為される事。
誰の意志もそこには介在しない。
ねぇ、神様。その位は許してくれるでしょ?
あなたは、いつも私に対して黙ったままだったけれど、私、密かに祈っていたのよ。聖堂朝礼の時、皆がシスターに言われて世界の平和だとか、日々の感謝だとかを祈っていたあの時間、私はいつも本当の名前を頂戴って祈っていた。
でも、あなたは結局、最後まで黙ったままだった。
だから、私は最悪の罪を犯すことにしたの。
魂が地獄に落ちたっていい。
この日記も燃やして灰にしておくから。
どうか、この罪を犯すことを許して。
今の私の趣味。
魂が反動で上昇できるような高い場所探し。
・・・・・・でも、冬の海もいいなぁ。
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