モノローグでモノクロームな世界
第六部 第三章
二、
アレグロ・バルバロ。
三分間にも満たない曲と同じ題を冠するその作品は、真飛にとっては、李鳥が生きていたという唯一の証だった。
今やどちらも消えてしまったデッドメディアだが。
彼女が、どんな気持ちでこの話を書いたのか。
アレグロとハナを中心に語られる世界は、今、真飛の目の前に見えるこの世界と違い、色鮮やかにその色を彼に伝える。
そして。
嘗ての世界の有様を、彼に伝えた。
嘗ての李鳥の姿を、彼に伝える。
いつからだろうか。
その後ろ姿を見失ったのは。
いつだったろうか。
その翼を折ったのは。
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