モノローグでモノクロームな世界
第二部 第三章
四、
人から感情を奪ったら。
それは本当に人間なのだろうか。
否、そもそも、そんな事は本当に可能なのだろうか。
「いずれ、これはナインヘルツから発表になるが。」
男は私に、トリプル・システムを介し、感情抑制の方法を私に説明した。
君だって知っているだろう。
そもそもこの惨事を引き起こしたのが、人間の愚かな感情だということを。
今回の自殺の騒ぎもそうだ。
全てを奪うわけではない。
そんなことをしたら、ロボットと同じだからな。ただ強すぎる感情のみを排除するんだ。
強すぎる感情は、いつだって人を滅ぼす。
それに、私はこの世界を綺麗にしたいだけなんだ。
そう話す男の罅割れたままの眼鏡の奥の瞳は、この世界で私が出会った誰よりも熱に帯びた瞳だった。
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