モノローグでモノクロームな世界 第一章 一
第一章 はじまりの物語
一、
そこは一面、真っ白な世界だった。
行儀よく立ち並ぶ高層ビルも、無人で走るオートと呼ばれる電気自動車も、重く立ち込める雲も。
形はそれぞれ違えど、何もかも白かった。
空を舞う鳥も、道を駆けていく子犬も、町を行き交う人々の姿も。
・・・・・・僕の服も、肌も、髪も、瞳も、何もかもが白一色だった。
僕はこの町で生まれ育った。この真っ白な世界で。
僕の名前はケイ。今日で十八になる。
今日、僕はこの町を出て行く。
僕の名前はケイ。
僕は今日、僕らの色を取り戻すために、旅に出る。
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