Butterfly Effect 8
蝋燭のついていない燭台。
冷え切った暖炉。
閉め切られ真っ暗なままの室内。
アリスの姿はそこには無かった。それどころか、帰って来た形跡すら無かった。僕はどうすることも出来ずにただ、冷え切った室内で立ち尽くした。
月の光は静かにこの部屋の内側を映し出し、
床に一つきりの影を描き出す。
夜遅くになり、村中の人達が灯りを手に、森中を探し回ったけれど、結局彼女を見つけることはできなかった。
皆が口々に言った。
「アリスはどこに消えてしまったのだろう?」
彼等は誰一人として、僕を責めなかった。
僕らがいつも一緒にいることが決まり事だと思っていた僕は、誰も責めないという事実に酷く混乱をした。
「アリスなしの僕は、認められるのだろうか?」
アームチェアーの上で一人、采配を取る。
夜空に星が、一つ流れ落ちた。
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