🇪🇸バレンシアの家探しが大変だった話（前編） - 海外移住のリアル -

スペイン、バレンシアの家を本格的に探し始めたのは、11月8日のことだった。

マドリッドを１週間ほど旅し、バスク地方サンセバスチャンにやってきてから数日後。

「マドリッドも良かったけれど、やっぱりバレンシアかな。
海もあるし、山もあるし、マドリッドやバルセロナより家賃とかも安いみたいだしね。」

なんて軽い気持ちで決めた。

いや、こんな言い方をしたら軽すぎるだろうか。

なんてたって、私はバレンシアに恋をしたのだから。他の街をみる前から、答えはもう決まってたようなものだろう。

何人かに、バレンシアはマドリッドやバルセロナより家賃とか安いよ、と言われたし、
実際物価の比較サイトや賃貸サイトを見ても、多少は安いのかなと思った。

カウチサーフィンで出会ったホストも、2LDKの素敵な家具付きの家を想像以上に手頃な価格で借りていると言っていたので、どんな素敵な家に住めるだろうと、それはそれはワクワクしながら家探しを始めたのだった。


勘の良い読者の皆さまであればきっとお分かりになるように、実際の家探しは全く簡単ではなく、悪戦苦闘することになるのだけれど。


これは、スペイン・バレンシアで、30代デジタルノマド日本人夫婦が家を借りるまでの奮闘記である。


なーんて、かっこつけて書いてみたけど。

記憶が新しいうちに、バレンシアでのはじめての家探しがどんなかんじだったか、ざっくばらんに記してみようと思います。海外移住のリアル。

いつかスペイン／バレンシアに住んでみたいな、と思う人の役に立てたら嬉しい。

書いていたらボリュームたっぷりになったので、２記事に分けて公開します。この記事では、バレンシアの家探しで大変だったポイントを主に。
具体的にどんな条件で探していたのか、金額などを含めた情報はメンバーシップ限定で載せます。

ふだんの内面を掘ってくようなエッセイとは違って、情報を手取り早く知りたいよ、という人もいるかなと思うので、まずは結論から。

結論：バレンシア市街地の家探し、超大変。

いや、この結論は荒すぎるか。

月 1,X00 €〜 くらいのお金を出したり、保証金等を多めに払えば、いろいろオプションはあって、街の中心部付近でも割と容易く見つかるような気がする。

そもそも最初から外国人向けの不動産サービスを利用すれば、すんなり案内してもらえるのかもしれない。
あくまで想像だけれど。

しかし、幸か不幸か、カウチサーフィンを通して３人のホストの家にお世話になり、彼らの家賃も教えてもらっていた私たち。

明らかに相場より高いだろうという物件には、見向きすらできない身体になってしまった。
（…かっこつけたけど、単純に収入的に手が届かないだけである。）


一度長期レンタル物件の探し方のオプションを整理してみる。

1.  Idealista, Fotocasa などの賃貸情報サイト経由で探す
2. 地元の不動産屋さんに問い合わせ、物件を紹介してもらう
3. Facebook、telegram などのグループから探す、呼びかける
4. (外国人/高所得者向けの)エージェントサービスを利用する
5. 知人から紹介
(11ヶ月以内のレンタルであれば、spot a home というアプリ経由など他にもオプションはあるみたい。私たちは1年以上の長期希望だったのと、内見は絶対条件だった)

各オプション内でも、個人から直接借りるのか、不動産会社を通してになるのかなど、いくつか分岐していくけれど、探し方としてはこの辺りが主だと思う。

日本だったら、
6. 「賃貸空きあり」等、物件にある広告から連絡
という出会い方もありそうだけれど、残念ながらバレンシアでは店舗の空き情報以外は見たことがない。

先述の通り、
金銭的な事情で
【4. (外国人/高所得者向けの)エージェントサービスを利用する】
はなし、
知り合いも友人もゼロで来ているので、
【5. 知人から紹介】
も期待ができない。

そんなわけで、
1.  Idealista, Fotocasa などの賃貸情報サイト経由で探す
2. 地元の不動産屋さんに問い合わせ、物件を紹介してもらう
3. Facebook、telegram などのグループの投稿から探す、呼びかける
のやり方で探すことになった。

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結局、いろいろ試行錯誤したものの
【1. の賃貸情報サイト】では 80 以上の物件にメッセージを送ったものの実らず、
【2. 地元不動産】では紹介にすら辿り着けず、
【3. Facebook グループの呼びかけ】で出会ったカップルとシェアで住むことになりました。

家探しにかかった期間はトータル約5週間。

期間にすれば短いかもしれないけれど、なかなかに骨の折れる仕事だった。

以下、バレンシアの家探し事情について、大変だったポイントと学びです。

※あくまで個人の経験に基づく考察なので、これが正しいとは限らないです。ご注意ください。

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カウチサーフィンのホストたちから、ここ数年で賃貸相場はかなり上がっていて、同じ条件・同じ額で借りるのは無理だろうと言われていたので、
まずは現在の賃貸の相場を掴むべく、
現地の賃貸情報サイト( SUUMO 的存在の Idealista)を使って探すことにした。

そもそもこれが使いづらい（条件の絞り込みの性能低い＋見にくい）し、やりとりが大変なんだけど、
UI, UXのネガティブポイントなんて可愛いもんだと思えるくらい、
構造的に困難があるのがバレンシアでの家探し。

どういうことか。

勿体ぶった割にシンプルすぎる結論で恐縮だけれど、
圧倒的に

需要 >>>>>>> 供給

なのである。


どんなレベルかというと、
地元の不動産に行ったときに、
「市街地の空き物件が0〜3個しかない」と言われるくらい。

これ、私たちの条件が厳しいからではなく、家賃含めた条件を伝える前の話。

外国人だからかな、とも思ったけれど、バレンシアで不動産業を営む友人に聞いても、そういうケースがあると言っていたので、本当に供給が少ないみたい。

【不動産に行っても物件がない】

そしてそもそもの前提として、
こちらの不動産は「貸し手側の担当に付く」スタイルであることが多いようで、
不動産によって出てくる物件はまったく違う(というより、担当会社が決まってるので、同じ物件は出てこない印象)し、日本のように希望を伝えたら提案がどんどん上がってくる世界ではない。

(主に外国人向けで、日本的なアプローチで色々探してきてくれるエージェントもあるみたいだけれど。もしかしたら、私たちが訪れたような地元不動産から、さらに又貸しのような仕組みなのかな？)

だから、こちらが営業する気持ちで、不動産も物件も行脚を行う必要がある。

不動産には 10 以上連絡を取り、
内 5つに足を運んだけれど、
結果は燦々たるものだった。

そもそも連絡が返ってこないのは論外として、
やり取りしてても途絶えてしまうことが多いし、
窓口に行けば、笑顔で対応はしてもらえるものの、
今は空きがないと言われる。

「12月後半に、新しく担当物件が出るの。詳細がわかったら知らせるからね」
とやさしく慰めてくれたお姉さんからの連絡はもちろんない。(現在1月末)

【物件の値段は上がり続けている】

バレンシアの人気はここ数年で上がり続けており、
賃貸物件の値段もすごい勢いで上がっている。
（1 ベッドルームの賃料が、東京の中心部と同じくらいまで上がっているよう。ちなみに人口は新潟市と同じくらいの 78.8 万人。）

半端じゃない角度で上がっている。引用元はこちら。

長期入居している人に対して、賃貸契約のある 5 年の間は賃料を年 3% までしかあげてはいけないという法律があるそうだが、それも過ぎれば一気に値段が上がるケースもあるようだ。

4 年前から住み始めたホストは、今同じ家を借りようとしたら 40 ~ 50 %くらいの値上げを覚悟しないといけないだろうと言っていた。

つい最近公開された記事によれば、バレンシア市の賃貸額は 5年で 78% 上昇したとあり、まったく恐ろしい世界である。
（信じがたい数字だが、この記事でも年 20.6% 上昇とあった。エリアにもよるのだろうが。１年前に借りた人の話がもはや参考にならないレベル。こわすぎる。）

既に家を借りている人は、一度出たらもっと高い条件でしか借りられないとわかっているので、あまり住み替えることがないとも聞いた。

【返信は来ないのが当たり前】

飛び込み営業した不動産とのやりとりすら途絶えてしまうのだから、
Idealista で送ったメッセージの返信率たるや酷いものだ。

80件送ったメッセージのうち、
何らかの反応があったのが 27 。

このうち半分以上が
「この物件はもう空きがありません。他の物件はこちら」
と不動産会社の別サイトに案内される仕組みだった。

メッセージは工夫を重ね、前向きな気持ちを押し出すようにしたし、個人情報の流出覚悟で、WhatsApp の番号なんかも載せるようになった。

ただ、向こうから WhatsApp に連絡をくれることはほとんどないので、電話番号を載せている相手には、リスクはあるとわかりつつ、WhatsAppで直接連絡も試みた。

そうすることで最初よりも反応の確度はあがったものの、
そこから内見等まで行き着けるかは別の話で、
メッセージ戦法では限界があるのは間違いないと思う。

【電話には出てくれるものの…】

サイトのメッセージは全然ダメ、
WhatsAppでも反応が微妙となれば、
残るは電話という手段。

番号を載せてる人も多いので、そこに直接かけるのだ。

これは他と比べて圧倒的にレスポンスが良かったし、話が進むことが多かった。

コールに出てくれるし、その場で見学の日付も決められる。

ただここでも大きな問題がひとつ。

スペイン語力である。

私のスペイン語は、一年間の中南米旅で身につけたサバイバルスペイン語なので、知ってる言葉は限られているし、文法も全然得意ではない。

スペインに来て１ヶ月経つとはいえ、日本の仕事をしてばかりの今、スペイン語は大して伸びていない自信があるし、
笑顔やジェスチャーで誤魔化せない電話は、手に余りがあってありすぎる。

しかし、これに家探しがかかっているとなれば、背に腹は変えられない。

なぜ夫ではなく、私のプロフィールを登録してしまったんだと過去の自分を恨めしく思いながら、辿々しいスペイン語で、 idealista でみた物件に興味を持ってること、見学にいきたいことを何とか伝えて、内見の約束を取り付ける。（私より夫の方がスペイン語が出来るので、夫に台詞を耳打ちしてもらうという謎現象が起きていた。役割分担おかしい。）

口頭で住所を言われても何もわからないので、続きは WhatsAppで！！とお願いしながらぶっちぎる。（なんのCM？）

こう書くととてもシンプルなやりとりだけれど、相手の声がよく聞き取れなかったり、早口でわからなかったり、塩対応をされたりで、電話する度にすごく疲れていたのを思い出す。

友人宅で電話をかけまくる図。ペットのMercuria ちゃんが癒しだった。

【スピード勝負の熾烈な競争】

Idealista を開いて物件をチェックするのは日課を超えて、起きてる時間、仕事をしていない間はずっと張り付いているような状態だった。

新しく出てきた物件が良さそうだったら、即連絡。

それでも相手が通話中で繋がらないことも多々あるし、
たまたま繋がった相手には「家情報をサイトに載せた瞬間から、ずっと電話が鳴り止まなくて」と言われた。

一日経ってから連絡をしても、良さそうな物件の場合、しばらく先の内見まで埋まってしまっていることがほとんど。
そうなると、内見に行く前に誰かしらがその物件に決める可能性が高いので、望みは極薄。

この電話勝負は20件くらい挑んだと思うが、結局 idealista 経由で内見まで行き着けたのは4件であった。

【土俵にすら上がれない】

外国人ノマドとして大変苦労したのは、【スペインでの収入】がないと貸さない、という条件のことが多かったこと。

日本企業から安定した収入があり、証明できると話しても、保険会社の都合上NGとされてしまう。

一年以上はその企業で働いていないとダメ、正社員で給料をもらっていないとダメ、というのもあった。

デジタルノマドビザ自体も2年前に出来たばかりで新しく、当然ながらこの働き方に理解や信用はないよなぁと痛感する経験だった。

【150人の中から選ばれる】

バレンシア市からは少し離れたところに空いた物件。（西に電車で 10 分くらい）

相場よりかなりお手頃な価格だったこともあり、大人気。

内見の際は、他の希望者も一緒でものすごく混み合っていた。
聞けば、公開してから一日で150人以上から連絡があったそうだ。

良い物件に内見に行けたとしても、その中から選ばれるのがどれだけ難しいか。

他に一番乗りで内見をして気に入った物件も、即資料を揃えて申し込んだにも関わらず、他の人に呆気なく決まってしまった。
（内見をした翌日、物件の所有者から不動産側に「希望者を自分で見つけたから」と断りの連絡が入ったらしい。）

競争の激しさは私の想像以上だった。

【詐欺も多発】

そんなかんじで、借りようとする側はなかなか物件が決まらず、苦労を強いられることの多いバレンシア。

当然詐欺も横行している。

これだけ競争が激しいため、「家を見学せずに入居を決める」というのも普通にあるし、
その物件が蓋を開けたら酷かった、とか、存在しておらずお金だけ取られた、なんて話も、情報収集する中でたくさん目にした。

ちなみに今見返したところ、私が連絡した80の idealista 上の物件のうち、16は「 fraud (詐欺と怪しまれるアカウント)」とフラグが立っていた。（ Whatsapp 教えてしまっているのが悔やまれるが、仕方ない。）

詐欺フラグ３連発。

実際、私たちもFacebookや idealista でこれは詐欺だろうなーという連絡をいくつか受けた。

契約を交わす前に、入金を催促して、予約を抑えてください、っていうやつ。
ゲームの課金カードを買わせようとするものまであった。

私たちの場合はあまりにわかりやすい詐欺だったので、
「危うく引っかかるところだった」とかではないけれど、
期待してがっかりする精神的なコストと、
やりとりの時間・労力のコストがかかるので本当にやめてほしい。

50€ のカードを買えば、確保できるらしい。
このひとは、弁護士ってどんな仕事だと思っているんだろうか。とても興味深い。

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こんなかんじで、むずかしさ満点だったバレンシアでの家探し。

次回記事では、どうやって今の家に巡り会ったのか、最終的にどんな家に決めたのか、詳細を書こうと思います。

以下、「こころの秘密基地」メンバーシップ限定で、もう少し具体的なバレンシアの賃貸事情(金額等の情報を含む)と、家探し中の心境について、書いてみます。

いつかバレンシアで家借りようかなーと思う人には、きっと参考になるはず。(時間が経ったらわからないけど。）

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