「おしゃれ欲求5段階」を知ろう。あなたのおしゃれ意識はどの段階?
こんにちは。服装心理lab.オーナーの久野梨沙です。
今回は、「おしゃれ欲求」について深掘りしていきたいと思います。おしゃれを楽しむ上で、実は最も大切なのが、自分の「おしゃれ欲求」を知ることなんです。
おしゃれ欲求って何?
心理学では「欲求」のことを「動機付け」という言葉で表現します。動機付けは英語でモチベーション。英語の方がピンと来やすいかもしれませんね。人にある一定の方向に向けた行動を起こさせ、その行動を維持したり調整したりする機能のことです。
人間の行動の多くは動機付けされたものです。でも、目的が一見同じように見えても、その動機が一緒とは限りません。
例えば友人と食事をするとき。
あなたは「久しぶりに話がしたいな!」と思って誘った
でも友人は「そのレストラン行きたかった!」と思って誘いに乗った
この場合、あなたの動機は「友人との会話」ですが、友人の動機は「そのレストランでの食事」です。
おしゃれも同じ!動機は人それぞれ
これって、おしゃれも全く同じなんです。
このlab.にいる皆さんは基本的に「おしゃれをしたい!」という方向に行動し始めている方々だと思いますが、その元となる動機はみんなバラバラなはず。
自分の欲求を知ると、そこから逆算して何をすればよいかがわかるんです。
例えば、「他の人から素敵だと思われたい」という欲求でおしゃれをしたい人が、「自分の好きなものを自由に着れば良いのよ!」というアドバイスを受けても、その欲求は満たされません。
その場合は、パーソナルカラー診断を受けて、自分に似合う服を知る方が近道かもしれません。
マズローの5段階説から見るおしゃれ欲求
服装心理学で、その人のおしゃれの欲求について深く知ろうとするとき、アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が提唱した「マズローの欲求5段階説」に照らし合わせて考える手法があります。
この説では、
人間の欲求は以下のピラミッド図のように階層になっている
と仮定します。次のように、です。
下から順に説明すると、
となります。
実はこの理論、1943年とかなり昔に発表されたものなので、心理学の世界では欲求を説明する別の理論もいくつか出てきています。
しかし商品開発やマーケティングの世界では、未だによく使われている理論で、おしゃれに関してもこの段階に当てはめて考えると非常に自分の欲求が整理しやすいのです。「服なんて面倒くさくて着たくないけど、裸で外出したくないから仕方なく着ている」という①の段階から、「他の人にどう思われてもよい!自分が着たい服を着るのよ!!」という⑤の段階まで。こんな風に言い換えると、自分がどの段階に当てはまるのかよりわかりやすくなるのではないでしょうか。
では、それぞれの段階をおしゃれの面から詳しく見ていきましょう。
1. 生理的欲求
「裸で歩いていたら捕まるから服を着ているだけ。服なんかどんなものでも着られればいい」
という段階です。
2. 安全欲求
「どうせ着るなら少しでも暖かく、かつ軽いコートが良いな!」
「いつでもその季節の気候にあった服を揃えておきたい」
と考え始める段階です。
3. 社会的欲求
「周りから浮かないような服が欲しい」という段階。
結婚式やビジネスシーンでの服装など、TPOを意識し始めます。
実は多くの人がこの段階にいます。アパレル業界の人には意外かもしれませんが、「周りの人よりおしゃれに見せたい!」というより、「とにかく無難に周りと合わせたい」と考える人の方が圧倒的に多いんです。
4. 承認欲求
「いち早く流行を取り入れて、『あの人おしゃれ』って思われたい」
「周りから浮かないのは当然として、ちょっとでも周りよりおしゃれに見せたい」
という段階です。
「似合う服を着たい」という欲求は、この承認欲求に移行し始めた証。周りの雰囲気に合わせるだけでなく、自分という「個」が他者からどう見られているかを意識し始めます。
5. 自己実現欲求
この段階になると、人からどう思われるかはあまり気にならなくなります。
代わりに「この服は自分らしいか」「自分の信念を表現できているか」を重視します。
注意⚠︎欲求段階は一つとは限らない
この段階は、どれか一つにしか当てはまらないというわけではありません。職場では浮きたくないから③だけど、休日は⑤だ、という人もいるでしょう。また、時期によって変わる人も当然います。
そしてさらに重要なことは、この段階の高いところにいたとしても、それがすなわちおしゃれレベルが高いというわけではない、ということです。
例えば、すごく流行遅れの服を着ていてその様子から、「ああ、この人はきっとファッションに興味がないのだな。ただこの服が着心地がよいから着てるんだ。ということは欲求段階は②だな」と思ったとしても、実はその人が、その時代の服を着ることにこだわりを持っている⑤の状態であることもあるのです。
つまり、見た目だけでは欲求段階は判断できません。ある程度話をしなければわからないのです。と同時に、「欲求段階が高いから偉いというものでもない」ということも、このことからわかるはずです。
思い込みが生む悲劇
さて。人間というのは不思議なもので「自分と同じように相手も考えているはず」と、つい思い込んでしまう生き物です。
ですから、この欲求段階を知らないと、「他の皆も当然私と同じようなおしゃれ欲求を持っているはず」とつい思い込んでしまうのです。
この思い込みが強い人からおしゃれのアドバイスを得ようとするとさぁ、大変です。たまたま自分と欲求段階が同じなら良いのですが、違った場合、そこに悲劇が生まれます。
例えば...
自分はとにかく職場で浮かない服が欲しいだけなのに、買い物に行ったら店員に「こちらのワンピースの方が絶対似合います!!」ってすごく派手な色のワンピースをごり押しされた・・・
パーソナルカラー診断を受けたとき、似合うといわれた色が好きな色じゃなくて落ち込んだら、診断した先生に「この色を着た方が素敵に見えるんだから、嫌いなんて我が儘言わないで着た方が良い!!」って断言されちゃったり・・・
仲の良いお友達や家族ですら欲求段階が一緒とは限りませんから、買おうか悩んでいる服について相談しても、ピンとこないアドバイスが返ってくるかも知れません。
【実践】あなたの「おしゃれ欲求」を知るワーク
では、ここからは実践ワークです!
ワーク:あなたの「おしゃれ欲求」を探る
自分の欲求に気づいて受け入れることから始めよう
おしゃれ欲求の段階を知ることで、次のようなことが見えてきます。
自分が本当に欲しいのは「似合う服」なのか「心地よい服」なのか
なぜ今までのアドバイスが自分に合わなかったのか
これから誰にアドバイスを求めれば良いのか
重要なのは、どの段階も「正解」だということ。また、一つの段階に留まり続ける必要もありません。
例えば・・・
新しい職場に入るときは「社会的欲求」が強くなる
恋愛を始めると「承認欲求」が高まる
子育てが落ち着いてくると「自己実現欲求」が出てくる
自分の欲求の変化を受け入れながら、その時々に合ったおしゃれを楽しんでいけたらいいですよね。
次回は、それぞれの欲求段階に合わせた具体的なおしゃれの方法についてもお話ししていきたいと思います。
例えば...
社会的欲求が強い人には、職場で浮かない「さりげないおしゃれ」のコツ
承認欲求が強い人には、周りと差がつく「トレンドの取り入れ方」
自己実現欲求が強い人には、自分らしさを保ちながら「TPOに対応する方法」
など、具体的なテクニックをご紹介していく予定です。お楽しみに!
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