ファッション知覚分類入門 〜あなたの「ファッション知覚タイプ」を知って、おしゃれ上達の近道を見つけよう
こんにちは。服装心理lab.オーナーの久野梨沙です。
今月は「ファッション知覚分類」というテーマで、4回に分けてお届けしていきます。1回目の今回は、ファッション知覚とは何か、そしてそれがなぜおしゃれに重要なのかについて、詳しく解説していきましょう。
「知覚の癖」が服選びに影響を与えている
先日、パーソナルスタイリングのお客様のお買い物同行のときのこと。とても素敵なニットを見つけて「これ、お似合いになりそうですが、どうでしょう?」とお勧めしたのですが、お客様は「でも、ちょっとチクチクするから…」と躊躇されていました。確かにウールニットの中には最初は少しチクチクする感触があるものも。でも着たり何回か洗っているうちにその感触は和らいでいくものなんですが・・・
「でも私、ちょっとでもチクチクしたら着なくなってしまうので、柔らかくなるまで我慢できないんです」と。
実は、このような会話は決して珍しいものではありません。でも面白いことに、まったく同じニットをオススメしても、「ちょっとチクチクするけど全然気にならない〜」というお客様もいらっしゃるのです。
これは単に肌の強さの違いなんでしょうか?
いえ、決してそう言い切れるものでもありません。
人それぞれの「知覚」の違い
これは「知覚の個人差」が起こす現象です。同じ状況でも、人によって特に意識される感覚が異なるのです。例えば映画館に行ったときのことを考えていましょう。あなたは何を一番印象深く覚えていますか?
スクリーンいっぱいに映し出された美しい情景でしょうか。 それともクライマックスで流れてきたテーマソング? はたまた、映画館ならではのポップコーンの匂いでしょうか。
人によって、最も強く記憶に残る感覚が違うのです。
これは、私たち一人一人が持っている「五感の特性」の違いによるものです。
視覚(見る)、聴覚(聞く)、触覚(触れる)、味覚(味わう)、嗅覚(香りを感じる)という5つの感覚のうち、特に鋭敏に働く感覚は人それぞれ異なります。
例えば視覚が優位な人は、目から入ってくる情報をより鮮明に記憶し、聴覚が優位な人は音の情報により敏感に反応する傾向があります。これは日常生活のあらゆる場面で影響を与えているのですが、特に顕著に表れるのが、実はファッションの分野。
ファッション知覚の三分類
服装心理学では、この知覚の違いを「ファッション知覚分類」として、以下の3つに分類しています。
Visual(視覚)優位型
デザインや色使いなど、目で見える情報を重視するタイプです。「かわいい」「おしゃれ」という見た目の印象が、服選びの最優先事項になります。着心地や評判は二の次という傾向があります。
Language(言語)優位型
口コミやブランドの評判、機能性など、言葉や数値で説明できる情報を重視します。「この服のどこが良いの?」と聞かれたときに、具体的に説明できることが多いタイプです。
Body(身体感覚)優位型
着心地や肌触りなど、体で感じる情報を最も重視します。見た目が良くても着心地が悪ければ絶対に選ばないというこだわりがあります。
特に意識せずに形成される「知覚タイプ」
【画像4:子供の頃から現在までの服選びの変遷を表現したイラスト】
このファッション知覚タイプは、私たちが意識して選んだものではありません。遺伝的な要素に加え、幼い頃からの経験や体験を通じて自然に形成されていくものと考えられます。
もちろん親の影響も見逃せません。例えば幼い頃、デパートで服を選ぶとき「これ可愛いね!」とママに言われて育った子は、視覚優位型になりやすい傾向があります。反対に「これは着心地が良いから」と言われて育つと、身体感覚優位型になりやすいでしょう。
なぜ知覚タイプを知ることが大切なのか
ここで大切なのは、どのタイプが良いとか悪いとかではないということです。それぞれのタイプには、それぞれの長所があります。
しかし、自分の知覚タイプを理解していないと、時として「おしゃれの失敗」を引き起こしてしまうことがあるのです。
例えば視覚優位型の人が、見た目だけで服を選んでしまい、着心地の悪さに後から気づくというケース。または身体感覚優位型の人が、着心地重視で選びすぎて、周りから「おばさんっぽい」と言われてしまうケース。
これらは決して「おしゃれセンスがない」からではありません。単に、自分の知覚タイプに振り回されているだけなのです。
次回の実践に向けて
さて、ここまで読んできて「私はどのタイプだろう?」と気になってきた方も多いのではないでしょうか。
次回は、あなたの知覚タイプを見つけ出すための具体的なワークと、それぞれのタイプの特徴をより詳しく解説していきます。その際に使用する「知覚タイプチェックシート」もご用意していますので、どうぞお楽しみに。
今回の内容を踏まえて、普段の服選びの際に「私はどんなところを重視しているかな?」と、少し意識してみていただけると嬉しいです。それでは、また次回!
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