Sandy

編集者 /執筆/ 映像をプロデュースしたりする人 / 美しい瞬間をいつも探してます

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最近の記事

トンネルを抜ける Day27 / 永遠の子供

  昨日が誕生日でまた一つ歳を重ねた。「年齢はただの数字」とはよく言ったもので、この歳(あえて言わないが)になるとその言葉に妙な現実味を感じてしまう。とっくに大人になってる歳のはずだが、未だに考える。「大人の定義」とは一体なんだろうと。   昨年も登場した、こじらせているインテリ変人の男友達「みっつん」。編集者でファッションにも精通している彼と「ハウスオブグッチ」を観に行った。映画が始まる前に、ボソボソと「ポップコーン食べたかった......」と呟く男子。それをせせら笑う私

    • トンネルを抜ける / Day 26 誰かを想うこと

           ひゃあ。と思った。タイトルだけ書いておおよそ2ヶ月も放置していたんだと。この10月から年末まで、「人生終わっちゃうんじゃないか」って言うくらいの勢いで人に会った。求めて会うって言うより、「会う」って行為が押し寄せてくるって言う表現が妥当だと思う。全てに「NO」ではなく「YES」と答えたらどんななるんだろう、そんな好奇心もあったし、こんな世の中、一期一会を大事にしない手はないって思ったから、その出会い全てを味わい尽くした。それで良かった。   もうほとんどその名前を

      • トンネルを抜ける / Day 25 いつ逝くかしら?

           わくさんがタバコを吸っていたということもあり、よく近所のタバコ屋のおばあちゃんのところに一緒に行っていた。背中が曲がったおばあちゃんは、通い出した当初既に80歳を超えており、つまり私達が通った5年間で更に歳を重ねたことになる。    タバコは吸えるが、根本は喫煙者ではなかった私。わくさんと別れた直後に、意味もなく気弱だった私は、おばあちゃんと引き続き話がしたいがために、たまにタバコを買うようになってしまった。そこまで頻繁ではないが、そろそろ終わりにしようと思っている。

        • トンネルを抜ける / Day24 ダチョウ倶楽部方式

             10月なのに夏のような天気。冬が来なくてもいいとか、少し思ってしまう。どうでも良い話だが、わくさんのFacebookには、ほぼ毎週末ごとにどこかに(とは言っても大抵都内だけれど)行っている楽しい様子がアップされている。    付き合い始めの頃、彼は、私にまるで「予防線を張る」かの如く、いくつか条件を提示していた。「僕、あんまり彼女と週末とか一緒に出かけないんですよね→つまり自由でいたい」「旅行とかも一緒に行かないんですよね」「束縛されるの嫌なんですよね」とか。私はその

          トンネルを抜ける / Day23 ものごとは自由にうつろう

             「8:45分に北参道の駅」。手先が器用で料理上手、もう知り合って 20年にもなる妹みたいなみっちゃんと朝待ち合わせてから新宿御苑に行った。食に関しても何に関しても色々とリサーチする彼女だけあって、朝一の誰もいない御苑で振る舞ってもらったサンドイッチは、最高においしかった。人に作ってもらう食事ってのは、なんでこんなに人を幸せにするんだろうね。美味しいと評判の自分の家の近所のパン屋の味とかを軽々と超えてくる手料理の威力。    数ヶ月前、恋愛というカテゴリーでは自分は一番

          トンネルを抜ける / Day23 ものごとは自由にうつろう

          トンネルを抜ける / Day22 来客ムーブメント

             わくさんと別れてからおおよそ3ヶ月。もうこの「わくさん」という固有名詞が使い古されてきている感じが、正直変な気もするし一方で嬉しくもある。ちょっと仕事に忙殺されていて、もう様々な記憶が消えていくというのも理由の一つだけれど、もっと大きな理由は、この3ヶ月で会った人達が私の中の何かを取り去ってくれたから。    今ある記憶で数えても、優に20人は超えている。海外生活時代も含め、もともと家にお客は来る方だけれど、この数はちょっと自分でも引くレベル(笑)。初めてきて夕方から

          トンネルを抜ける / Day22 来客ムーブメント

          トンネルを抜ける / Day21 あなた、元気になったわけ?

             約14年くらいの付き合いになる男友達と映画を観る。精神的なことが影響し、痩せたり太ったりを繰り返す繊細な男子、みっつんと新宿で待ち合わせた。みっつんは学歴も申し分なく、そういう部分以外でも頭が良過ぎてネジが飛んでいるから、突飛な行動と発言が多い。その予測不可能なことが私をいつも疲れさせるけど、一方で、他の誰よりもそれを私は楽しんでいると思っている。映画は、デザイナー、マルタン・マルジェラ のドキュメンタリー。私は彼のクリエイションが好きというより、当の本人が語るという構

          トンネルを抜ける / Day21 あなた、元気になったわけ?

          トンネルを抜ける / Day20 波に身を任せる

             人の記憶って何だろうと思う。この家に当たり前のようにいた人がいなくなってから約2ヶ月半。彼を知っている私の親友といつも「なんかそれよりももっと前のような気がする」っていうのを最近話す。直後に感情を放出しまくったせいか、その反動でというか秋の静寂と共に、自分がやっと「自分」だという感覚を取り戻してきているような感もある。    少し前に、親友の一人であるみおこちゃんと彼女の所有する山の別荘に行った。わくさんと別れた直後、仰天した彼女は超忙しい合間をぬって家に来てくれた。

          トンネルを抜ける / Day20 波に身を任せる

          トンネルを抜ける / Day 19 まだ降りないよ

              ここ数年毎年この時期は、NYとロンドンに出張に行っていた。ほぼ1ヶ月。今年はもちろんだけどそれはない。そんな時期に思い出す人がいる。ロンドンの出張の時に必ずお世話になっていた、マキコさん。物凄い知性の塊なのに、それを素直に褒めると「やめろよ、照れ臭い」と一刀両断し、「マキコ先輩」と心底お慕いすると「なんだよ、こそばゆい」と切り返す。50歳を超えてなお、自身の仕事に誇りを持ち、湧き上がる好奇心を素直に文章に表現できる人だった。    彼女の文章を若い頃からある雑誌で読

          トンネルを抜ける / Day 19 まだ降りないよ

          トンネルを抜ける / Day18 ティンダーです♪

             以前仕事を一緒にした人が、その時の会社をやめた。そういうことは日常茶飯事で、その後プライベートで続くか続かないかは、特に期待はしていない。先日、それこそ転職して新天地に行く、とメールをもらっていた30代の女子が「是非会いたいです!」という嬉しいお知らせをくれたものだから、自宅に呼んで食事をすることにした。   さほちゃんは、あるイベントの時に長期に渡って苦楽を共にした人なのだが、私は初対面の時から好印象しかなかった。満面の笑顔にとってもよく似合う幸せオーラたっぷりのふ

          トンネルを抜ける / Day18 ティンダーです♪

          トンネルを抜ける / Day17 丸出しだもんね

             ここ1週間くらいPCが壊れたおかげでえらい目にあった(だから書けなかったは言い訳にはならないかも)。その間も引き続き家に客人は訪れ続け、一方で私は先を急ぐように短い夏休みも取った。わくさんがいた時はというより、彼関係なくここ数年実はろくに休暇を取っていない。自分の仕事上、1年に合計すると数ヶ月にも及ぶ海外出張は、どうやら自分の何かを奪っていたようだ。灼熱の太陽の下「生きている」という実感を得るのは、まるで何かを「キメ」たような気分にしてくれる、単純に今そう思ってる。今は

          トンネルを抜ける / Day17 丸出しだもんね

          トンネルを抜ける / Day16 緑の目の彼女

             抜けるような真緑の目を持つ親友と出会ったのは、18歳の時、大学1年の時に行った、英国でのホームステイ。初めての海外。初めての語学学校。日本人の子とつるんでしまったら、英語が上達しない!と思い込み教室の扉を開くと、その思いに反して見事なまでに日本人がいない。フランス人数名、ドイツ人1人、そして残りは全員スペイン人。そのスペイン人のグループの中に、退屈だと言わんばかりに唇を尖らせていたのが、彼女だった。    同じ18歳とは思えない華やかで大人っぽい髪型。みずみずしい若さ

          トンネルを抜ける / Day16 緑の目の彼女

          トンネルを抜ける / Day 15 軸がある女

             だいぶ闇から自分は抜けたと思っていた。100パーセント回復したと思っていた。でもそれは嘘。何となく落ち着かない気持ち、足が地面にきちんと付いていない感覚。戻って来ているのを自覚しつつあるのに、何か腑に落ちない。そんな状態にしっかり自分が向き合うべきと思いつつ、人の誘いに関しては「悩ましい誘惑」なので、絶対に行く。    近所に住んでいる編集者の親友まりごん(まりの後にごんを付けたニックネーム)。付かず離れずの独特な距離感。お互いの居場所は違うが、共通の海外出張先で出会

          トンネルを抜ける / Day 15 軸がある女

          トンネルを抜ける / Day14 ミーみたい

             朝、目覚ましで起きたのは3:50。この日は、早朝の仕事だった。まだ目が覚めていない身体にどうにか声をかけて準備をする。新宿にあるビルの屋上。曇天だが雨が降らないのが、外での撮影の救い。そしてもう一つ嬉しいのは、一緒に仕事する人たちの顔ぶれ。   中学、高校の時に演劇部にいて、脚本書きに始まり、とにかく「大人数でものを作り上げる」ことに没頭した。その時の高揚感と、今の仕事の撮影は似ている。特にその面子が最高の場合は、言わずもがなテンションは上がりっぱなしだ。Day2で登

          トンネルを抜ける / Day14 ミーみたい

          トンネルを抜ける / Day13 壊れゆくもの

             数日あいた分を取り返したい。記憶に留めたい。山の暮らしから戻った日は、そのままあっこちゃんと遊んだ。あっこちゃんは、以前も登場した、健啖家の彼女だ。新幹線で東京駅へ。そのまま駅で待ち合わせして、食材や飲み物を購入して、家に戻る。    通常であると大体留守番しているはずのわくさん。が、いない家。でも1ヶ月以上経った今はそれに慣れ、むしろ以前の恋人と遠距離恋愛を約13年続けていたあの頃の家に戻りつつある。その頃は、誰とも住んでいない家であったから、この家には様々な人々が

          トンネルを抜ける / Day13 壊れゆくもの

          トンネルを抜ける / Day12 蛇のように賢く

            山での生活ももうすぐ終わりを告げる。ただ緑の世界に身を委ねる数日は、コロナが始まってからある意味最も放念した日々だったかもしれない。昨日話した、私の中学高校の恩師のユウコさん。我々の学校は、古くから歴史ある東京の学校ということもあり、山のエリアで独特な社交が存在している。その社交の一環、ということで、私は彼女に連れられ、山の麓にある教会の礼拝に参加した。    何年ぶりだろうか。礼拝で歌うのは。何年ぶりだろうか。牧師先生の説教を聞くのは。若かりし学生の頃は、礼拝堂に座っ

          トンネルを抜ける / Day12 蛇のように賢く