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世界の小麦獲得競争とエジプト

先日は、自己紹介エントリーにたくさんの方々から反応を頂き、本当に嬉しいです!!!!!!ありがとうございます。しっかり更新していかねばと改めて気が引き締まりました。

そんな中、1回目のエントリー、先日日経でも記事が出ていた穀物価格の高騰について、アフリカ、特にエジプトの状況をお伝えします。

アフリカはロシア・ウクライナの小麦に依存している

恥ずかしながら、私は正直今までロシア・ウクライナ=小麦、というイメージがありませんでした。農林水産省のデータを調べてみると、日本の小麦流通量は国内生産が82万トン、輸入は年間488万トンとなっていますが、この輸入元はアメリカ(49.8%)、カナダ(33.4%)、オーストラリア(16.8%)で、この3カ国で100%を占めており、日本へはロシア・ウクライナの小麦はほぼ入ってきていません。

一方、アフリカに目を向けてみると、アフリカ全土で輸入している小麦はロシアが1位、フランスが2位、そして3位がウクライナ、次にカナダとなっています。特にソマリア・ベナンにおいてはロシア・ウクライナからの小麦輸入が100%を占めており、昨年から続く乾期の影響で干ばつが深刻で国内の生産が期待出来ない中、輸入価格も高騰しており、深刻な食糧危機が懸念されています。

Statista調べアフリカ小麦輸入情報

1億人以上の人口を抱えるエジプトは、輸入の82%をロシア・ウクライナに頼っています。それだけエジプト人にとって身近にある小麦の価格が高騰すると、国内の反乱にも繋がりかねず、小麦の確保が急務となっています。

エジプトの国民食”Aish"

エジプト人にとって、パンは日常食です。エジプト料理には、必ずフムスと共にパン(Aish)が出てきます。このAish、めちゃくちゃ美味しいです!街中では屋台や出ていたり、商人が売り歩いており、人々は毎日Aishを購入しています。

Aish

エジプト 料理店にいけば、ピザ窯よりも大きな専用の窯が設置されており、職人さんが作ったできたてのAishを味わうことができます。焼き立てのAishはとても柔らかく、微かな塩味がフムスに合い、メイン料理が来るまでのいわゆる前菜なのですが、バクバク食べてしまいます。フムス(中東・地中海の伝統料理:ひよこ豆のペースト)も5種類くらいのものが出てくるので、飽きもこませんし、食べ終えたら都度出来立てを追加してくれるので、意識的に我慢しないといけないほどです。

カイロのエジプト料理店にて

エジプトの小麦輸入

しかし、そのAishの元となる小麦は国内で生産していません。エジプトは、世界一位の小麦の輸入大国で、年間1,300万トン程度を海外から輸入しています。

エジプトの小麦輸入数量及び輸入元

また、その輸入元は、昨年度実績ですとなんとロシア・ウクライナから82%を輸入しており、2014年の25%から3倍以上増加しています。
ロシアからの輸入が増加した背景には、2020年に他輸入国のフランスやルーマニアが干ばつにより生産数量が減少したことにより、国外への輸出数量に制限をかけた一方、ロシアは中央部で生産が好調だったことなどがあります。

エジプトは低所得者向けには配給を行なっており、低所得者は補助金で低価格でパンを購入することができます。この配給のパンの価格は政府が設定している為、高騰していませんが、市場のパンの価格はロシアがウクライナに侵攻してから右肩上がりで、2月から5割以上あげている商店もあり、国民の不満が募っていました。それを受けて、政府は先月21日に市中のパンの販売価格も上限を設定しました。
特に現在はラマダン中(断食期)で、IFTAR(イフタール)という、日没後には家族・友人が集まって食事をすることが多く、Aishや他の小麦製品の消費が増えている為、価格の高騰の食卓への影響は甚大です。

エジプト料理(肉と野菜がもりもりです)

新規販路開拓:インド

ロシア・ウクライナからの安定的な輸入が難しくなり、政府はなんとか安定した輸入元を開拓しようと、インドからの輸入を検討していました。

インドは通常バングラデシュなどの近隣国に輸出をしていますが、今般の事態を受け、同じように小麦不足で悩んでいる中国・トルコ・ナイジェリア・エジプトなどへの輸出を検討していました。

エジプトは、インドからの輸入を望む他国を抑えてなんとか自国への輸出優先度を高めてもらう為、2022年4月11日から1週間、使節団がインド現地の小麦農場を視察し、政府間で輸入に向けて議論を進めていました。合わせて、元々、インドはエジプトの小麦輸入取引先に含まれていませんでしたが、国内での手続きを進め、早い段階でインドを小麦輸入取引先に追加するべく、手続きを進めていました。

すると、2022年4月13日にはインドがエジプトへの輸出を決定し、16日にエジプト側もインドを小麦輸入取引先に正式に追加したことを発表し、早速4月中に100万トンの小麦がインドからエジプトへ輸入されるようです。
このエジプトのクイックな動きは”さすが”と言わざるを得ません。


初エントリーとなりましたが如何でしたでしょうか?
最後まで読んで頂きありがとうございます!


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