楽器の定義
楽器の演奏とは意図した通りの音をリアルタイムで出す行為なので、その道具として満たすべき条件から楽器を定義すると
「操作に応じて得られる音が変化し、操作と音との対応が一定に保たれている装置」といったものになるでしょう。操作を変えれば音が変わり、かつその変化が予想できるからこそ演奏が成り立ちます。
昨日と同じ操作をしても今日は音が違う、というのでは、極端に言えば楽器の定義から外れます。
もちろん状態は日々変化するものなので理想論にすぎません。しかし、根本的な設計から日々の維持管理まで、不安定な要素をできる限り取り除き操作と音との対応が一定に保たれることを目指すのが健全でしょう。
ところで楽器の評価で「良い音」などとよく言われますが、音楽やその演奏というのは時間軸の中での音の変化なので、あるひとつの音それ自体に絶対的な良し悪しはありません。
前後の音との繋がりが意味を持ち、文脈として「良い音」が発生するわけです。
であればやはり、楽器が備えるべき性能は「操作と音との対応」でしょう。
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