【追想】亡き祖父に寄せて「願わくは、我に七難八苦を与え給へ」第3回
病院に着いた頃には23時を過ぎてきて、既に正面口は施錠されていたので、裏口から院内に入れてもらった。もう外の気温もすっかり下がっていて日中のような暑さはなかったが、院内は更に涼しく、全身に滲む汗が一気に引いていった。
県外からの訪問者は名前と住んでる都道府県を書く決まりになっているようで、私も名前を書かせてもらった。私の名前は祖父から一字貰っている。苗字も一緒だから、四文字の名前のうち三文字が同じ字だ。同じ書類に祖父と自分の名前が並ぶのを見るのは初めてかもしれない。あまりに