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鮭越しの猫
焼き鮭越しの猫を眺めながら食事をとる。
小さめに切った焼き海苔にごはん、鮭、卵焼き、カマンベールチーズをそれぞれ半口ぐらいずつのっけて、海苔をくるんとして口に放り込む。ほんとはこれにアボカドも加わるのだけど、買ってきたやつがハズレで、食べられそうもない状態だったので、今日はなし。
この作業をちまちまと繰り返す。たぶん他人には見せない方がいい食べ方なんだろうけど、私にとっては一番おいしくて、たのしくて、かけがえのない食事。いつか来る最後の日の食事はこれがいいなあ、といつも思う。
炎天下の中、1時間近く歩いて街の図書館へ行った。
広くてきれいな館内を歩いているだけで、心がほぐれる。学習室で資格の勉強をしたあと、読んでみたいけど、専門書だから読みきれるかわからんな、と思っていた本が開架にあったので借りて帰る。
お金を払うことなく、涼しい学習スペースが使えて、読んでみたかった本を借りられたことに、途方もなく感動してしまった。
読んでみたい本、読んでいいよ、ここにあるからね、勉強もしたっていいんだよと、どこからともなく声をかけてもらったみたいで、自尊心がめきめきと回復するのを感じた。
お金を払って何かをする許可を得ることに慣れすぎてしまっていたなと顧みもした。誰しもに開かれているということが、こんなに自分を元気にしてくれるなんて、けっこうまいってたんだね。
今度は自転車で行こう。借りた本はやっぱり難しすぎて手も足も出ない内容だった。そのことがわかってよかった。