トロイとイーライ 魔法学科のフェローたち
「トロイとイーライ 魔法学科のフェローたち」は私が雑誌小説ウィングスに連載した最後のシリーズになった。最後というのは、小説ウィングスが休刊になったからだ。21年11月発売のファイナル号は私がこの雑誌でデビューしてちょうど20年目にあたる号だった。なんたること。しかし半年前に最終話までのプロットを出してあったので、翌年新春に始まったウェブ版小説ウィングスでラストまで書くことができた。
新書館クリエイターズラジオでもちょっと話したんだけど、連載の途中で紙雑誌→Webに変わったのでウェブ向きの書き方になっておらず、いま画面で読み返すと冗長に感じる。雑誌版では1話が160枚くらいだったのをWebでは三分割して3話にして掲載したんですよね。2年前はこれでいいと思ってたんだけどなあ……でも1話ではカタルシスがないし、3回でひとつの話というのは分かりにくかったと思う。いまウェブ連載している「皇帝陛下とお毒味役の異世界漫遊グルメ旅」は1話50枚(だいたいちょっと伸びるけど)でひとまとまりの話になるようにしている。
紙雑誌で「トロイとイーライ」の連載が始まったのは2017年。その第一話はウェブ版に転載されているので無料で読めます。スロースタートだ……
https://www.shinshokan.com/nwings/comic/title03.html
基本的に魔法が少しだけある世界で、魔法研究する学者先生たちの話。魔法はあるが実用的ではないので科学技術に追い抜かれようとしている、ちょっとノスタルジックな感じの世界。確立している魔法は「使い魔の絆」で、絆を結んだ動物をファミリア・スピリットとし、人並みの知能と寿命を与えるというもの。だから喋る動物がたくさん出てくる。ファミリア・スピリットと主人の絆は一生物だが、育成に失敗した場合には妖変異となる危険があり、そうなったら駆除されてしまうという設定。このファミリア・スピリットと妖変異がシリーズ全体のテーマになっている。シリーズが始まった頃はイーライの人嫌いと引きこもりを改善するという友情ものの色彩が強かったが、2話目でほぼ改善されたのでその後は妖変異の話が多くなった。後半では新しい敵も登場した。この敵キャラ、マクスウェルは予想外に多くの情報を持ったキャラになり、このキャラを設定したことが妖変異の秘密を解き明かす手助けになった。狐の妖変異が二体でているのは、作者が好きだから。
「トロイとイーライ」は結局紙雑誌分+Web分を合わせて二冊の電子書籍になった。2巻目の1話までが紙雑誌分で、そこから先はウェブ版。
あと「不死探偵事務所」とコラボした番外編があるが、これは収録されていない。いまのところ無料で読めます。
https://www.shinshokan.com/nwings/comic/title06.html