建築から学ぶ、デザインに大切な考え方
こんにちは。アジケでUXデザイナーをしているサトウリリです。
最近は色々なところでデザインが語られるようになってきました。それでも、UXデザインやデザイン思考について、「カタカナばっかり、フレームワークばっかりでよくわからない!」などの感想が多いのではないでしょうか?
実際、学術的だったり、理想論が多く、どう実際のプロダクトに適用していけるのか?理解が及びにくいことが多いと思います。特にITサービスだと抽象的な話になりがちです。
今回は、私の尊敬するデザイナー、アレハンドロ・アラヴェナという建築家の建築作品を一つご紹介し、その事例から、デザインに大切な考え方を2つご紹介できたらと思っています。
事例:限られたコストで入居者が満足する家を作るには?
建築家アラヴェナの出身地であるチリには、公営住宅でないと入居できないような貧しい家庭が沢山あります。しかし、公共住宅は予算が限られているため、どうしても狭くしたり、壁を薄くせざるを得ず、入居者の満足できない住宅になってしまっていました。
この課題に対し、アラヴェナは調査を進め、以下の事実をつきとめました。
この課題を解決するために、彼がデザインした公営住宅がこちらです!
各世帯の間に空間が空いている点が特徴的です。なぜ、彼はこのような形をデザインしたのでしょうか?
それは、
を満たすためです!数年後の状態がこちらになります。
デザイナーの意図通り、入居者が各々の好みに応じて増築していっているようです!カラフルで、入居者のセンスが反映されたユニークな建物になっていますね。
この家は、本当によくデザインされた作品だと思っています。この事例には、デザインの大切な考え方が2つ含まれているので、1つずつご紹介していきます。
デザインの考え方① 「解決策を考えることよりも、解決すべきポイントを見つけることが重要」
UXデザインの文脈でよく出てくるのが、こちらのダブルダイヤモンドというフレームワークです。ダイヤモンドが2つ並んでいて、左側が「正しい問題を見つける」ためのダイヤモンド、右側が「問題を正しく解決する」ためのダイヤモンドになっています。
こちらに今回の事例を当てはめてみます。まず、左側のダイヤモンドに当たる調査をきちんと行うことで、以下のような「今回解決すべきポイント」を特定できました。
そして、このポイントを解決するための解決策を考えるのが、ダイヤモンドの右側で、今回のケースでいうと、サービスアイディアとして「入居者が増築できるような公共建築」があり、最終的には写真のような形に落とし込まれたようです。
もし、「今回解決すべきポイント」を見つけられずに、いきなり公共住宅を作ろうとしたらどうなっていたでしょうか?おそらく、一般的な公共住宅と同じように、すごく狭かったり、壁が薄かったり、耐久性がなかったり等、入居者に長期的に愛される家はできなかったでしょう。
つまり、良いデザインとは、よく想像されるように「解決策を作る」部分がうまいだけではありません。良いデザインとは、課題の定義からしっかりなされたものであり、むしろ左側のダイヤモンドがとても重要になることが、今回の事例からわかるかなと思います。
デザインの考え方② 「デザインはデザイナーのものではなく、みんなのものである」
最近、デザイナーの役割が変わってきていると言われています。今までは、デザインの主役はデザイナーであり、デザイナーがユーザーのためにデザインをするという考え方が一般的でした。(図の左、Design for Userに該当)
一方、近頃は、世の中が複雑になり、デザイナーだけではデザインすることが難しくなってきました。そこで、事業者などをパートナーとして巻き込んで、一緒にデザインをしていくようになってきています。Design with People、という考え方です。(私達アジケもこの形でデザインに関わらせていただいています。)
さらに進んだ状態として、Design by Themselvesという考え方もあります。デザインの主体がデザイナーから、ユーザー自身になっていくという考え方です。デザイナーはどうしても人数が限られているため、デザイナーだけでデザインをし続けるのは、サステイナブルではありません。
デザイナーは、当事者にデザインを促すための土台だけ作り、あとは当事者の手に委ねることで、当事者自身が持続的に快適な環境をデザインし続けることができるのです。今回ご紹介した作品は、このDesign by Themselvesの良い事例であると思います。
おまけ
ちなみにですが、同じくアラヴェナの作品で、Chairlessという作品があります。遊牧民の座る様子を観察(※ダブルダイヤモンドの左側ですね!)したことでできた「椅子」です。
ダブルダイヤモンドの左側を行うことで、プロダクトの可能性がどこまでも広がることがわかるかと思います。
さらに、世の中にはChairless以外にも仰天モノの椅子がありますので、せっかくなのでご紹介しておきます。世の中、供給過多で多くのサービスが出尽くしている印象がありますが、椅子ですらこれだけ可能性があるのなら、UXデザイン・サービスデザインのやりよう・可能性はいくらでもあると実感させてくれますね。
FLY - Mark Robson
Tree Trunk Bench - Jurgen Bey
Spun - Thomas Heatherwick
終わりに
いかがでしたでしょうか?今回は、ある建築作品を事例として、デザインの大切な考え方を2つご紹介しました。今回の記事で、デザインに対する理解が深まった方がいたら嬉しいです。
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