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映画「花束みたいな恋をした」を見て

今日は、この間鑑賞した「花束みたいな恋をした」の感想を書いていきたいと思います。ネタバレを含みますが、正直この映画はネタバレした状態で見ても十分楽しめるものだと思います(どうしても気になる方はここで読むのをやめて下さい)。



主人公の2人は大学3年生。私は今大学1年生なので少し先の未来の恋愛の話かもしれないという妄想を膨らませながら、映画を楽しむことができた。(いや、有村架純になるためには足りないものが山ほどあるけど)

最高に幸せな5年間の恋愛を描いた作品で、とにかく、2人の幸せを閉じ込めるための仕掛けが多い。完璧な世界観を作り上げていた気がする。2人だけの世界でたった一つの世界。でも、それは観ている人たちにとってもそれぞれが心当たりがあるような世界なのかもしれない。

お揃いだったスニーカーとか、片耳ずつ聴くイヤホンとか、趣味に合わせて頑張ったけど眠くなっちゃった映画(ガスタンク)とか、映画の半券をしおりにする共通の癖(看過されてこの日の半券をしおりにした笑)とか、ジャンケンの不合理なルールとか、些細な言葉選びが好みとか。

そんなに恋愛経験豊富ではないけど、それでも心当たりのあるエピソードがあった。きっと、現在進行形で恋愛している人たちはもっと当てはまると感じるのだろう。どこにでもあるけど、自分たちにとっては世界に一つだけの特別な恋愛というのがそこにあった。

最後は結局別れちゃったけど、別れた後の2人の方が自然体で、そういうことも恋愛あるあるだな〜と思ってしまった。(何を知ったようなことを笑)

もっと恋愛したら、それこそ大学生後半から20代前半くらいの時期にこの2人みたいな恋愛をしたら、もっといろんな感情が自分の中に生まれるのかなぁ。そういう恋愛をしてみたいという願望と、やっぱり恋愛ってめんどくさそうだなという怠惰な気持ちとが渦巻く。付き合う前の、お互い両思いってわかっているけど告白しないあの期間に浸ってるくらいがちょうどいいなー、とか思う。

付き合ってからももちろん楽しいとは思うけど、時間が経つとお互いに妥協したり我慢したり依存したり不安になったり、そういうとことも含めて恋愛なんだろうし、それを乗り越えるのが恋人というものなんだろうけど。けど、そういうのできないと思ってしまう…。(←だから彼氏ができないのだ)

そういえば、他の方の感想をチラッと見た感じ、この映画をカップルで観に行くべきか、という論争が巻き起こっているのを発見した。たしかに、私も鑑賞直後は「これ彼氏と観に行ったら気まずくなりそうだな〜、あ、彼氏いなかった…。」というひとりツッコミをした記憶がある。

学生気分で楽しい恋愛をしていたつもりが、いつの間にか社会の波に飲み込まれて、経済的に支え合うためにシビアにならなければいけない時もある。そのせいで起こるすれ違いはつもりに積もって、気がついた時にはどこで間違ってしまったのか分からないほど大きな溝を生んでいた。

好きで一緒にいたはずなのに、気づいたら惰性で一緒に過ごすようになっていた。

そういう時期って多少長く付き合っているカップルなら直面する場面だろう。

まあ結局、気まずくなるような恋人とは別れた方が良いのではないか、という辛辣な結論に落ち着いてしまった。実際、ネットの感想の中には「もっと恋人を大切にしようと思った」とか「鑑賞後に恋人色々なことを話し合うきっかけになった」というものも散見された。そういう”大人な”カップルは、この映画を観ることで今まで以上に絆を深められるのかもしれない。

最後に少しだけ現実的で冷たい感想を述べると、やっぱりお金は大事なんだな、と。麦くんと絹ちゃんは、一時の楽しみに溺れてしまったばっかりに経済的に厳しい生活を強いられてしまったわけだ。お金がなければ夢を追うこともできないし、心のゆとりも失われてしまう。

絹ちゃんは麦くんに夢を追って欲しかったのだろうけど、麦くんは絹ちゃんと一緒にいるために夢を一旦諦めて安定した収入を取った。でもそれが絹ちゃんには物足りなく感じてしまったのかな。趣味が共通していることが2人が惹かれあった理由だから、同棲して時間が経って環境が変わっていく中で変化を強いられていることに妥協できなかったのかもしれない。

だからこそ、それでも、というべきかもしれないが、20代の勢いに乗った恋愛は儚くて素敵なのかもしれない。

これから、絹ちゃんと麦くんみたいな、普通のありふれた、でも特別な「花束みたいな恋」をしてみたい。で、その後この映画を見返したらまた違う感じ方をしてみたい。

映画タイトルの「花束」って、2人のカラフルな思い出がたくさん詰まっているっていう意味だと思ってたけど、花はやがて鮮度が落ちてしまうということも含まれているのだろう。花束って、もらった時は生命感あふれて綺麗だけど、時間が経つにつれて枯れてしまうナマモノだ。そういう恋愛の賞味期限みたいなのを表現しているのかもしれない。そして、思い出の中では常に色彩鮮やかで良い香りがするのも花束の良いところ。

最後にとっておきの奇跡があるのも微笑ましかった。奇跡って2度も起きるのか。

またあの後に再会して、今度2人は友達になって欲しいな、と願ってます。


「缶ジュース奢ってやるか」くらいの気持ちでぜひ!