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じぶんだけのうた

鈴虫の鳴き声が、夜道にふってくる。
合唱のようにきいてしまうけれど、べつべつにうたっているんだよな。
一匹一匹がそれぞれに、じぶんだけのうたをうたっているんだ。
切実な恋のうたを。
葉のかげで、じっと耳をすましているであろうメスをおもうと、
わたしまでうっとりしてくる。

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