年の瀬に
あと数日で今年が終わる。この一年を振り返る時期となった。一年前はどうだったかと思い起こすと、年明け(今年の初め)の大きなプロジェクトを目前に胸の前でこぶしを作っていたような、ある種のファイティングポーズを取っているような状態だった。
一方で、長く続けることはできないという感じは生じていて、そのプロジェクトが軌道に乗ったら、今の仕事を辞めようとも考え始めていた。管理職として大きなプロジェクトを進めていく中で、経営陣の考えがどうにも浅はかに見えて、ついていけない感じや「こんな人たちに頭を下げ続けてまで働きたいか」という疑問が生じていた。
年が明けると、ちょうど私が休みを取っていた日に職場でちょっとしたトラブルが起きた。部下たちはその患者間トラブルにうまく対応できず、私自身を失望させたし、彼らは自信を失い、私と彼らの間に温度差が生じた。「いっそ私なしで自分たちで職場を回してみるくらいの気概を見せてみろ」と部下たちに腹が立ったし、呆れたのも事実だ。上層部との細かな駆け引きにかなりエネルギーを消耗させられているというのに、部下の後始末まで正直、しんどいなと感じて、彼らに思いやりを持つことができなかった。怒らないでいること(怒りにブレーキをかけること)がせいぜいで、そういうムードを部下たちも感じ取っていたのだと思う。上司としてやれることはやったが、結局ぎくしゃくしたムードのまま新規プロジェクトチームのほうに軸足を移すことになった。
その間にも新型コロナウイルス対策はどんどん厳しさを増していき、職場で陽性者が出た時点で、さまざまな対応に追われて、一段落したところで私自身が燃え尽きてしまった。それが今年のGW前後のできごとだ。もちろん、その前にも兆候はあって、それは「メンタルの危機を感じた夜」という記事に書いた。
部下や患者さんが起こすトラブルを「面倒だな」と感じる時点で、私は私を好きでなくなっていた。私を好きでいられない状況からは脱するしかない。3月末にはすでに「いつ、どんな形で仕事を辞めれば迷惑をかけないか」ということばかり考えていて、好きだった仕事や職場が好きでなくなったことが悲しくて、泣いてばかりいた。
「辞めたい」と上司にSOSを出した時に休職を勧められた。一ヶ月休んで復職し、管理職を辞して、退職する日を決めた。
それが今年の一大事だった。まあ、それに尽きる。
それに加えて、私が復職した後、夏に夫がメンタルの調子を崩して眠れなくなった。これも私にとっては「まいったな」という出来事だった。仕事に対する「面倒だな」ほどではなかったものの、自分を大事にしたい時期に夫がダウンしたものだから、ここでまた少し余裕をなくしてしまった。管理職を辞めて、少しだけ復活したこころのゆとりが、またいっぱいいっぱいになってしまった。
この世は不公平だな。
正直、そう思った。早く体調を崩した者勝ちみたいに思っていたけど、結局、重く体調を崩した者勝ちなんだな。軽いほうが重いほうの世話をしなくてはならない。なんだかワリが合わないな、と思ったのを覚えている。
一方で、うつ状態にまで進行している夫を見ていると、衝動的に自傷してしまわないかとヒヤヒヤする日々でもあった。だからワリが合わない感じを夫の前では出すことはできなかったし、コロナ禍ということもあって、友だちや親に自分の苦しい感情を吐露することもできなくて、ほんとつらかったなと思う。それで、とにかく自分の思いや感情、考えを吐き出す場として、休職とほぼ同時期にnoteを始めたことも大きかったなと思う。ひたすら書いて、書いて、書いて、自分を一定の範囲内につなぎとめてきたように思う。
結局、夫が先に退職することになり、来春には夫婦で無職になる。まあ、そんなプロセスの中でのこの年末。
来年は良い年にしたいなと思うけど、不安も大きい。
年賀状を書きながら、多くのはがきに「勤続30年という節目に退職することにしました」とひとこと添えた。その一文がこの一年のすべてだった。
良い主治医に出会えたことは幸運だった。私が辞めることになって、職場のスタッフ数も増やしてもらえるようで、それは火の中に身を投じた甲斐があったように思う。来年の春からの自由も手に入れた。
昨夜、夫にこれからやりたい仕事を一覧表にしたら?と言われたので、たくさん書いた。やりたいことがありすぎて、すごいなと思ったけど、どれもお金儲けにはならなさそうなことばかりだ(笑)。
まあ、夫婦ふたり食べていける途をどうにか確保しつつ、自分たちを大事にしていきたい。それがまずは合格ラインだ。初めの2~3年は赤点かもしれないけど、やるしかないわな。
マガジン「弱さという強さ」は、おそらくもうすぐ終わりを告げる。もうずいぶん傷は癒えている。新しい歩き方をそろそろ見つける時期だ。
久しぶりにトライしたセーターがそろそろ出来上がる。これからはそういう楽しみも大事にしていきたい。
みなさま、時々、お立ち寄りいただきありがとうございます。このnoteに助けられた8ヵ月でした。どうぞ良い年をお迎えください。
(やまさきCOCOA)
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