はじめてのこころの病院
予約取消
何度見たかわからないこの画面
いざ予約の朝がくると怖くて仕方がない
こころの病院は、
当日でも予約のキャンセル可能だった
つらいつらいつらい
でもきっと私のつらさなんか大したことないんだ
こんなことで行ったら迷惑がかかる
真剣に死と向き合った
死ぬ段取りまで考えた
その日は夢の中で首を吊った
苦しかった
何度も何度も目が覚めて苦しかった
一晩中、こころの病院に行っていいか
ネットに聞いてみた
受診の基準とされる症状は全て当てはまった
そんなものあてにならないのは分かっているが
少しだけ背中を押してもらえた気がした
近所の病院を予約してみた
当日、またキャンセルしそうになった
その度に、苦しかった夜を思い出して自制した
ついに病院に来てしまった
こわい
受付の人の視線が怖い
こわい
問診票、何も書けない、、
なんで書けばいいんだ?私はなんでここにいるんだ?
自殺したいなんて書けない
不眠
よし、これだけ書いておこう
こわい
恐る恐る提出し、呼ばれるのを待った
154番さん
はい
診察室に入った
とても穏やかな男の先生だった
あまりにも記載の少ない問診票に
何から質問すればいいか戸惑っているようにも見えた
こわい
ここに居てはいけない気がして
緊張と不安で今にも泣き出しそうだった
「眠れないんですか?」
『はい』
「いつごろからですか?」
『たぶん今年から』
「きっかけは分かりますか?」
『たぶん仕事です』
着々と話が進む
「片付けは苦手ですか?」
『はい』
、、、ADHDを疑っているんだ、とすぐに分かった
自覚はあったものの、いざ聞かれるとすこし驚いた
「そうですか」
そろそろ終わりかな、、、
何も話せなかったけど、何が話したかったかも分からない
結局なんで私はここにいるんだっけ、、、
帰ろう、、、、
「死にたいと思ったことはありますか?」
『、、、、、子供の頃から常に考えています』
「どんな家庭でしたか?」
『、、、、、えっと、、、』
急に涙が止まらなくなった
早く話さなくてはいけないのに
『バタバタしていました、家族全員が不安定で、、』
なるべくなるべく
自分が可哀想に見えないように
表現を選んで
なるべくなるべく
詳しく話さなくていいように
「大変でしたね」
「お薬を出します、あとADHDのテストをします
結果をお伝えしますので、数日後に来てください」
『わかりました、ありがとうございました』
怖かった
私なんかが行くべきではなかったのかもしれない
でも、少しだけ、
まずは結果を聞きに行くその日まで
寿命を伸ばすことにした