70代の患者様と「365日の紙飛行機」を振り付きで歌った話
70代の患者様と「365日の紙飛行機」を振り付きで歌った話
「デイケアの中のひとが語る、精神科まわりのあれこれ」#34
私たちのデイケアでは、本当にいろいろな活動をしています。その真価が発揮されるのが、年に一度の「文化祭」(現在は新型コロナ感染症流行のため、2年連続で休止中)。
患者様とスタッフによる寸劇の披露やら、活動で作った作品の展示やら、いろいろなモノゴトが発表され、患者様・スタッフともども楽しいひと時を過ごします。
で、ある時、ひょんなことから、患者様有志とスタッフとで舞台に上がり「365日の紙飛行機」(AKB48)を振り付きで歌う、ということになってしまい。
メンバーには60代、70代の方(男性)もいらっしゃる。みんな、本当に振りを覚えられるの?と非常に心配したのですが、何度か練習を重ね、あたふたしつつも何とか形にして発表することができました。
ずいぶん恥ずかしい(笑)思いもしたのですが、こんな経験は、デイケアスタッフでないとできない経験かもしれません(ふつうのサラリーマンの方も、会社の慰労会などで、こんな出し物するのだろうか)。
ちなみに、一緒に歌った70代の患者様は、“縛りカラオケ”で「美空しばり」と仰っていた、あの方です。
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「365日の紙飛行機」について、「風まかせの人生を美化しているようで、あまり好みの歌ではないかな」というようなことを言ったら、患者様やスタッフから諫められまして(やりたいことを好きなように自由にできる夢を叶えたい、という願いを歌ったいい歌だ、と)。
私は自分を“失言の多いタイプ”と自覚しているのですが、こんな感じの出来事が時に起こります(笑)。
でもやっぱり、紙飛行機は自前の動力を持たず、風のまにまに漂うもの。それよりも、自分の足で、進みたい方向に一歩でも進んでいく人生を目指したい(患者様にも、そう勧めたい)かな。「人生は紙飛行機」というより「一日一歩、三日で三歩、三歩進んで二歩さがる」(365歩のマーチ/水前寺清子)方が、性に合っている。なんてったって、昭和の人間なもので。
(おわり)
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