雪よ、届け。【#サンタさんにおねがい】
雪が見たい。
と、強く願った。
私が小さい頃から暮らしていた街では、
毎年ホワイトクリスマスになった。
雪の気配を感じると、私はいそいそと窓を開ける。
冷たい空気を顔いっぱいに浴びるためだ。
寒いのは嫌い。
でも、雪が降りそうな空にはなぜかワクワクする。
白い息がどこまでも広がって夜に溶けていくのを、目で追いかけるのが好きだった。
“こっちは雪が降ってるよ”
というと、
“すごいね。ホワイトクリスマスだ”
と、文字の向こうの彼はいう。
静かに静かに、途切れることなく落ちてくる雪。
真っ暗な闇さえ白く染めていく。
まるで心の中さえ、まっさらにしてくれるかのように。
こうやって手を伸ばせば、触れた瞬間に消えてしまうというのに。
見上げれば、
永遠に続くかのような雪花に目眩がした。
この雪、君へ届け。
そんな淡い思い出。
もしサンタクロースが、
願いを叶えてくれるのなら。
見渡す限り一面、真っ白にしてほしい。
すべての色や音を消し去って、
静謐な世界にただ1人。
窓の外に雪の気配を感じながら、
お気に入りのカップにカフェオレの湯気を立たせて、ひんやりと満ちていく夜にそっと笑みを浮かべることにしよう。
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せっかくのサンタさんなので、
自分では叶えられないものにしてみました。
あなたのお願い、なんですか?