まるで恋?紛れもなく恋! Hexenschuss!
昔ラジオで話した、人は、ぎっくり腰になったとき、それがぎっくり腰だとわかるか?という命題に、限定的ながら解が与えられた。限定解を導出するにあたり、次のように命題は書き換えられる。
私は、ぎっくり腰になったとき、それがぎっくり腰だとわかるか?
答えは、否だ。否だった。
ぎっくり腰になったのに、それとわからなかった。
その日は夜、寝るときから背中が痛かった。でも普段もデスクワークなので、軽めの腰痛を感じる日も普段からあり、その延長だと考えていた。
しかし、翌朝、「体を左にひねる」」「歩行中に鋭角に曲がる」「右腕で200g 以上の物を持ち、初期位置より高い位置に移動する」などのいくつかの発動条件を踏むと、呪詛が発動し、魔女の一撃が加えられるのだ。
なにそのパラノマサイト。発動条件の特定ができぬまま病院に行き、レントゲンを撮られ、骨に異常はないですね、じゃあ診断はぎっくり腰だ、と。
消去法。
えー。思ってたんと違う。
ぎっくり腰ってさ、もっとビビットでキラキラしたものじゃないの?
未体験者のぎっくり腰の認識は、『サザエさん』あるいは『ちびまる子ちゃん』なんだよ。大掃除回で、マスオさんあるいはヒロシが張り切って重量物を持ち上げて、アタタタタタタ・・・!といって発症し、原因と結果が明確で、ぎっくり腰ではない/ぎっくり腰であるの、2値しかとらないものだと思ってたんだよ。
なんか、原因も曖昧なまま、そんなぼんやりと発症するもんなの・・・?
いや、すげぇ痛いよ?
電圧下がったみたいに、硬直時間発生するもん。
でも、強弱の違いではなくて、別種の痛みが、新大陸みたいな発見的な痛みがあるんだと思ってたんだけど、地続きなんだよね well known な痛みと。これは腰痛の一種です。
要するに、ぎっくり腰に憧れを抱いていただけだったワケ。
初めて一撃を加えられたとき、未体験にもかかわらず、「今、オレは確定的に、ぎっくり腰になった・・・!」と、言葉ではなく心で理解できるような、心境になると思っていたワケ。
なんつーか、まるで恋?紛れもなく恋!みたいな衝撃が脊髄を走り抜けるもんだと思ってたんですよね。
極彩色に彩られた非日常などはなく、世はなべて日常に地続きだ。カロナールを飲み、バンテリン湿布を背中に貼る。