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#1 AV女優の事務所に応募してみた

私は都内の大学に通う大学生。
平日は大学に行って、休日は趣味の映画鑑賞や料理をする。
友達はあんまり多くないけれど、家族の仲はとても良い方だと思う。
そんな私は今日、AV女優の事務所に応募のメールを送った。

これはAV女優を目指す私の記録。

まず、AV女優になるにはどうすればいいのか。
色々なデビューの仕方がある中で、私が選んだのは自らAV女優の事務所へ連絡する方法だった。
元々、ナンパであれスカウトであれ日々街中で行わていれる勧誘行為は全て無視していた為、私がスカウト経由でデビューするという選択肢は自然と除外されていた気がする。
それ以前に私には、「AV女優になりたい」という強い意志があったから、一歩踏み出すのに誰かの手を借りるつもりも無かったし、何より自分の意思で道を切り開いていきたかった。

私の大好きな、というより"生き方"を教わったとも言える漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部で、主人公のジョルノ・ジョバァーナがこんな台詞を言っている。

「「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!
進むべき道を切り開く事だッ!」

私の心情はまさにこの言葉と重ね合わせられるものだった。
あの黒い暖簾の先に広がる未開拓の暗闇の荒野に、己の"性なる"フロンティアを目指し自ら道を切り開いていく事、それこそが私の決めた『覚悟』だった。

なんだかカッコつけているけど、勿論初めからこんなに潔かった訳ではない。
応募するまですごく悩んだ。

"AV女優になりたい"

そう初めて思ったのは中学二年生の時。
当時好きだった人に教えてもらったAVを見て直感的にそう思った。
でも当時の自分の目に映った映像はなんだか現実的には感じられなかったし、何よりもそんな夢を抱くのは"常識的に考えて"イケナイ事なんだと自分自身を律してしまっていた。
しかし、AV女優への憧れを抱いたと同時にその想いを葬り去ったあの時から、きっとこの想いは私の無意識の奥深くまで根を張り、いつか起こり得るかもしれない萌芽の時を待っていたのかもしれない。
そして待つこと約6年一。
私の中の情熱の芽は、偶然の出来事の積み重ねによって水を与えられ、一筋の光を浴びせられた事でようやく顔を出した。
だから次はこの芽を育ててくれる場所へ行こう、そう決意した。

その場所はもう決めていた。
決めていたというより、ここ以外私の行くべき場所は無いと思い切っていた。
それは6年前に私が初めて見たAV女優さんのいる事務所。
そうと決めたらもう後は勢いだった。
身長・体重・スリーサイズ、出身・職歴・顔写真などの基本情報をメールに打ち込んで、送信ボタンを押した。

事務所からの返信を待つ間も、何かが始まる気配に包まれるような感じがして落ち着かなかった。
とはいえ私はAVの世界にキラキラとした幻想を抱いてはいない。
誰もがAV女優になれる訳では無い事は知っていたし、今やAV女優が一種の"憧れの職業"となっている事も、もはや"AV女優"という肩書きを超えた職業と化している事も知っていた。
私はどちらかというと平和主義で競い合うのが嫌いな人間だから、AV業界というシビアな競争社会に足を踏み入れる事に恐怖や不安も抱いていた。
それに家族にバレたら大変な事になるだろうし、最悪の展開も頭をよぎる。
この仕事に対する社会全体の理解も、悲しい事にまだまだ追い付いていないのが事実。

でも、それでもやりたいと心の底から思える事にようやく辿り着いたから。
自分らしく生きるため、私は一歩を踏み出した。

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