人が恋に落ちる瞬間って!(その3)

 好きなシーンを唐突に思い出したので,ご紹介。

いつもの通り,ネタバレ上等なので,嫌な方は見ないでね。


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 さてと。この作品は,僕の大好きな作品の一つなので,このシリーズの最初の方で紹介しなかったのか,何だか忘れてたもの。

 「古見さんはコミュ症です。」(少年サンデーコミックス)から。

 はい,古見さんが只野君への好意を抱いていることを,最初にはっきりと自覚するシーンです。

 8巻で修学旅行回がやってきます。くじびきで決まった班分けで,ぎこちなかった3人が,班別旅行で打ち解けます。その晩,「恒例」の恋バナになります。そこで古見さん,佐々木さんと加藤さんから質問され,実は「好き」という感情がわからない,と二人に告げます。そして,その定義を聞かされ,2コマにわたり,あれこれ考えた末の次ページ冒頭で,

 「カーーーーーーーーーー」っと。

 ここのページ割りがたまらなく上手なんですね。そこで見せた恥じらい満開の表情から,当然のように只野君のことだ,と分かっている二人からの苛斂誅求な追い込みを食います。

 そしてとうとう,好きな人の「名」のイニシャルを明かします。

 「Hだった。」

 ほんと,かわいいですね,古見さん。彼女には,この時の気持ちを忘れないでって思います。

 うーん,一作だけでは物足りないので,コミュ障系で見つけた作品からもう一つ。

 「僕の心のヤバイやつ」(少年チャンピオンコミックス)を。

 主人公「市川京太郎」は,かつて自分が好きだったモノや好意を寄せた人の話で周囲からからかわれたことで,そうした思いを相手に伝えられなくなっている,「こじらせ陰キャ」です。しかし,彼はこじらせた思いの中,初めは「殺したい」と思っていたヒロイン「山田杏奈」に徐々に,ほんとうに少しずつ好意を寄せていきます。そして,3巻後半,自分の感じていた陰鬱な気持ちが,実は自分が傷つきたくないから,という事に気付くと同時に,彼女への好意にも気づき,彼女への言葉を紡ぐのです。

「嫌だなんて言ってない。」

 実はこの言葉,彼女がしてきた仲直りのハグを,一旦は押し返してしまいそうになった彼が,それに気付いた彼女から,「近いの嫌だったよね。」と言われた時の返答なのだ。しかし,彼の表情と,その直前の「どんどん好きになるのが怖くて」というセリフから,事実上,彼の告白シーンになっていることが分かります。ここは作者のコマ配分と動きの旨さにしびれる所です。

 そして,やっぱり「ほっこり。」

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